■「お子さんの発熱と解熱剤の使い方」
小児科部長 半田 陽祐(はんだようすけ)
外来で、「熱が出たら解熱剤を使う方がよいですか?」「元気だけど熱があるので解熱剤を6時間ごとに使っているけど、効果が切れると熱が出ます。大丈夫ですか?」とよく訊かれます。
この不安はどこからくるのでしょう?
大きな理由は「熱が高いと脳がやられるのでは?」ということではないでしょうか。
熱中症のような特別な場合を除いて、通常の発熱で脳がやられるような体温にはなりませんので、ご安心ください。
風邪をはじめとする感染症の発熱は、ウイルスや細菌などの病原体が出しているのではありません。からだが病原体を退治するために出しています。ですので、風邪で40℃のお熱が続いても、それが理由で脳がダメージを受けることはありません。
もちろん、脳がダメージを受ける脳炎・脳症や髄膜炎のような病気は、発熱の程度に関わらず重大な状況に至ります。けいれんや意識障害などの症状がある場合は、診察と必要に応じた検査が必要です。
これを踏まえて、解熱薬の使い方についてご説明しましょう。
・解熱剤は熱による辛さを一時的に緩和するお薬で、病気を治すわけではありません。とにかく熱を下げるという使い方はオススメできません。
・38・5℃(年長児は38℃以上)を目安に、熱のせいで眠りづらい、飲み食いしづらい、気分が悪い、頭が痛いなどの症状があるときに症状を緩和するために使うのがよいでしょう。
・熱があるからといって、眠っているのに起こして使う必要はありません。ゆっくり眠らせてあげて、体力を維持しましょう。
・一度使ったら、たとえ途中で熱が上がってきても6時間は時間をあけましょう。
・普通の風邪だけでなく、インフルエンザや水ぼうそうでも、お子さん用の解熱剤(アセトアミノフェン)は使用できます。
・解熱剤で熱が下がっても意識状態が悪い、けいれんした、嘔吐がおさまらないなどの症状がある場合は、病院に相談しましょう。
坐薬と飲み薬はどちらでも効果に大きな差はありませんので、使いやすい方でよいでしょう。
熱がまる1日落ち着くまでは急な変化に特に注意して、お子さんを励ましながら回復を応援してあげてください。
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