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木綿(ゆふ)の山通信

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大分県由布市

お祭りや盆踊りなどでうたわれている民謡は、労働や子守り、祝い事など生活の中で生まれてきました。
民謡で有名なものといえば、北海道のソーラン節、福岡県の炭坑節、大分県であれば鶴崎踊りなどが有名です。今回はその民謡の研究に多大な功績を挙げられた、挾間町出身の加藤正人(かとうまさと)氏が残した資料「加藤正人氏関連民謡調査資料」を紹介します。
加藤氏は、大正7年に現在の由布市挾間町に生まれ、昭和13年に大分県師範学校を卒業し、昭和53年に挾間小学校の校長を最後に定年退職しましたが、平成9年に亡くなるまで県内外の民謡調査を精力的に実施しました。
約50年間という永きにわたり採譜(さいふ)し続けた結果、収録した曲は2000曲以上にものぼり、世に紹介した曲は「ふるさとのうた」、「續ふるさとのうた」など、150曲以上になります。
加藤氏が残した8ミリビデオやカセットテープは数百本にものぼり、直筆の楽譜や横笛、調査時に携帯していた録音機などが一括して由布市の文化財として指定されています。
大分県は小藩が多く存在し、また小河川も多く流れていることから、尾根や河川で隔絶された地域ごとにさまざまな民謡が発達するという文化を有しています。大分県はまさに民謡の宝庫とも言えます。その代表的なものが先に紹介した鶴崎踊りですが、それらをひとつひとつ調査し、また、そのいわれや民族風習まで一体的に調査されていることが大変重要な功績となっています。
例えば、田植えはかつて地区の人が総出で行う共同作業でした。しかし、機械化により家ごとに田植えができるようになると、田植え歌をうたう風習がなくなり、これを伝え聞くことがなくなると忘れ去られ、初めからなかったような状況になります。文字であれば思いがけず発見されることもありますが、音や音色は形として残すことが難しい媒体なので、消えゆく前に記録として残すことがとても重要です。加藤氏は、生涯をかけてその重要な調査を実施してきました。その功績は顕著で、地域の誇る偉人として顕彰されるべき存在です。
現在、加藤氏関連の民謡調査資料はゆふポ挾間図書館(はさま未来館内)に設けられた展示コーナーにて常設展示されています。また、合併前の市町村ごとに民謡を収録したCDを館内で視聴することもできますので、ぜひご来館ください。

問合せ:社会教育課
【電話】097–582–1203

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