■オオキヌタソウ(アカネ科)
阿孫久見
低山地(ていざんち)や山地(さんち)の半陰地(はんいんち)になった林内(りんない)に生育(せいいく)する多年草(たねんそう)です。普通(ふつう)茎(くき)は直立(ちょくりつ)していますが、葉の重(おも)みで斜(なな)めになってほとんど枝(えだ)分(わ)かれしません。
一定の間隔(かんかく)でつく輪生(りんせい)(茎(くき)の1節(せつ)から3個(こ)以上(いじょう)の葉が出る葉のつき方)する葉はぎざぎざがない全縁(ぜんえん)で先がとがる広披針形(こうひしんけい)です。大きさは長さが10センチ、幅(はば)が4センチほどです。
初夏から夏の頃、茎先(くきさき)や葉のわきの集散花序(しゅうさんかじょ)に小さな5裂(れつ)する緑白(りょくはく)の径(けい)4~5ミリほどの花を集(あつ)めて咲かせます。花のあと、球形(きゅうけい)で黒熟(こくじゅく)する液果(えきか)(果肉(かにく)が肉質(にくしつ)で多量(たりょう)の水分を含(ふく)む果実(かじつ)のこと。例:ブドウ)をつけます。
和名の由来(ゆらい)は別種(べっしゅ)のキヌタソウより大ぶりで果実の形を布(ぬの)をたたいて柔(やわ)らかくする砧(きぬた)に見立てて大砧草(オオキヌタソウ)の名があります。
竹田では祖母山系やくじゅう山系の谷(たに)沿(ぞ)いのやや湿(しめ)った腐葉土(ふようど)の積(つ)もった場所(ばしょ)で観察(かんさつ)されますが、個体(こたい)は少ないです。花期(かき)は5月から7月です。
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