■ヤマトキソウ(ラン科)
阿孫久見
丘陵地(きゅうりょうち)や低山地(ていざんち)の日当(ひあ)たりのいい草地(くさち)に生育(せいいく)する、高さ14センチほどの草丈(くさたけ)の低(ひく)い多年草(たねんそう)です。本種(ほんしゅ)は、おそらく湿地(しっち)に生(は)えるトキソウから分化(ぶんか)した山地型(さんちがた)の生態種(せいたいしゅ)といわれています。
葉(は)は1個(こ)でぎざぎざのない全縁(ぜんえん)で厚(あつ)っぽくて形(かたち)は長楕円形(ちょうだえんけい)です。長さが7センチ、幅(はば)が2センチほどです。花のつけ根(ね)にも、1個小さい葉と見違(みちが)える苞葉(ほうよう)(花の下部(かぶ)につく、つぼみのとき花を保護(ほご)する葉が変形(へんけい)したもの)がつくのが特徴(とくちょう)です。
初夏の頃(ころ)、茎(くき)の頂(いただき)に1個だけ、ほとんど開(ひら)かず閉(と)じた状態(じょうたい)でラン特有(とくゆう)の形をした径(けい)1センチほどの白地(しろじ)にうすい紫紅色(しこうしょく)をぼかしたような花を上向(うわむ)きに咲(さ)かせます。
和名の由来(ゆらい)は山に生え、鳥(とり)のトキの羽根(はね)の色ににているので山朱鷺草(ヤマトキソウ)の名があります。
竹田では、主(おも)に久住高原のネザサの中にかくれるように生えているものが観察(かんさつ)される希少(きしょう)な植物(しょくぶつ)です。大分県の絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)。花期(かき)は6月から7月です。
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