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特集 ながたに振興協議会の竹活用の話(2)

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大分県豊後大野市

【竹を使う】
■竹チップの使い道
竹チップとなった竹は、振興協議会の拠点施設で乾燥し燃料として使うものと、地域内の旧牛舎に運ばれ堆肥として使うものに分かれる。

◆竹チップ有機堆肥に
竹伐採後、竹チップは地域内の堆肥施設に運ばれ、鶏ふんと混ぜて、発酵させます。竹チップと鶏ふんは、60~70℃の温度で発酵を続け、2週間ごとにショベルカーで混ぜて空気を入れる作業を行い、約2か月で堆肥が完成します。完成した堆肥は、においもほとんど気にならないそうです。堆肥のほとんどは長谷地域内の田畑で消費され、おいしい野菜や米ができると評判。農家と協力して堆肥を活用した作物作りを行い、地域をあげて有機堆肥の活用拡大に取り組んでいます。

・完成した堆肥。専門機関で堆肥分析を行い、良質な堆肥作りに成功。
・今は使われなくなった牛舎を借りて堆肥施設に改装。
・堆肥は、ほとんどが地域内で消費されるそう。

◆竹チップ燃料に
堆肥用に使う竹チップ以外は、旧長谷幼稚園を改装した振興協議会の拠点施設に運ばれ、乾燥します。乾燥した竹チップは、大野町にあるサイクリングハブ施設内の足湯の熱源に。竹チップは、1日平均してコンテナ5箱分(1箱約15kg)使い、足湯の水を沸かします。燃焼後の灰も捨てずに利用。竹チップの灰は、アルカリ性のため、石灰のように土壌改良材として土にまいて使われているそうです。

◇サイクリングハブ施設「サイクルパークおおの」
中九州横断道路の延伸で、車の通行量が減少した旧国道57号をサイクリングコースとする愛好家の皆さんの休憩スポットや地元住民の交流施設として市が建設。再生可能エネルギーをテーマに建設され、電気は太陽光発電で自家消費。放置竹林の利用を考え、竹を燃料とする専用ボイラーを導入。施設内の足湯は誰でも無料で利用できる。

・燃料になる竹チップ。足湯の熱源に。
・竹チップ専用のボイラー。ボイラーは、竹チップが詰まったり、固まった灰が出るため、定期的な確認は欠かせない。

■竹パウダーの使い道
竹パウダーは、竹チップとは別に伐採した竹を、チップソーの刃を使い自作した機械で粉状にして乾燥させる。乳酸菌の働きで高い消臭効果を発揮している。

◆酵素風呂に
拠点施設を利用して始めた酵素温浴施設。ヒノキのおがくずや米ぬかを使用した酵素風呂が多いですが、振興協議会の酵素風呂は竹パウダーを活用しています。浴槽内は、米ぬかに長谷の竹パウダー・ヨモギ・湧水を混ぜて発酵させたパウダーで満たされ、砂風呂のように浴槽に埋まって体を温めます。酵素風呂は、内部の微生物が自然発酵して生まれる遠赤外線の熱により全身を優しく温め、血行を促進し発汗を促し、酵素を全身で浴びながら皮膚粘膜から吸収することができるとのこと。米ぬかだけでは独特なにおいがするそうですが、「竹の酵素風呂は、竹パウダーがたっぷり入っており、竹の持つ常在菌や乳酸菌の働きで発酵を促し脱臭作用を発揮していて、においがほとんど気になりません」と話すスタッフさん。浴槽内は60℃以上の発酵熱を維持しているため、老廃物は分解され常に清潔に保たれているそうです。

・毎週利用していると話す利用者さん。「できた当時から週一回通っています。酵素風呂に15分も入っていると汗びっしょりになります。利用し始めてから基礎体温が上がったんですよ。休憩室でのおしゃべりも楽しみの一つです」
・体にびっしりとくっついているのは酵素を吸収している証拠とのこと。病気の人や冷え性の人など、冷えている箇所などはくっつきづらいそう。
・笑い声が絶えない休憩室。

◇メンテナンスは欠かせない
発酵熱の維持には、日々の手入れが欠かせないとのことで、休業日には、振興協議会の会員が二人がかりで念入りにメンテナンス。汗びっしょりになりながら、浴槽内のぬか等をスコップで底から掘り返して空気を入れ、新しい米ぬかと竹パウダーを追加し発酵熱を保ちます。「混ぜる作業は重労働。最初は要領が悪くて腰が痛くなったりした。いろいろ試したが、手で混ぜ合わせるのが一番よかった。発酵熱をちゃんと出してもらうには、水分が多すぎても少なすぎてもいけない。手を抜けないよ」と話す会員さん。今では手で触るだけで水分量が分かってきたそう。
酵素風呂は、完全予約制で営業しており、利用客の約6割は町外・市外から訪れ、そのほとんどがリピート客。拠点施設の景観や雰囲気がいいという人も多いとのこと。約4割は地域内の住民が利用し、酵素風呂は住民の交流の場に。休憩室には笑い声が響きます。「皆さん年を重ねると体のあちこちが痛くなりますが、酵素風呂に入って症状が改善されたとの声を聞くとうれしい。励みになります」と笑顔で話すスタッフさん。
酵素風呂には副産物も。酵素風呂で使用した後の米ぬかと竹パウダーは再び発酵させ完熟堆肥に。いい堆肥と評判だそうで、捨てるところなく竹が活用されています。

◇市外企業へ竹パウダーを提供
竹を原料にする次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)の研究開発を進めている大分大学関係者が立ち上げたベンチャー企業「おおいたCELEENA(セレーナ)」に、ながたに振興協議会が竹パウダーを供給している。CNFは、竹の繊維をナノ化したもので、化粧品・食品・塗料などに活用が可能で、脱プラスチックにつながる自然由来のエコ素材として注目されている。

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