災害発生時の人命救助について
大規模災害、特に大規模な地震発生時においては、現場でいかに速く応急活動できるかが重要となります。
今回は、災害発生時の救急救命について、大阪府に唯一の基幹災害医療センターである大阪急性期・総合医療センターで高度救命救急センターのセンター長を務める藤見さんにお話を伺いました。
この機会に災害への備えについて改めて考えてみませんか?
・大阪急性期・総合医療センター 高度救命救急センター センター長 藤見 聡さん
大阪府出身 1991年弘前大学卒業 同年大阪大学特殊救急部(現:高度救命救急センター)入職。外科7年、米国留学3年、救急科7年を経て、2008年より現職。日本統括DMAT隊員。大阪府災害医療コーディネーター。
●災害派遣医療チーム「DMAT(ディーマット)」とは何ですか?
・災害医療を手掛けるプロ集団
医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成される救急治療を行うための専門的な訓練を受けた医療チームです。大地震や多数傷病者が発生した事故などの現場で、急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持ちます。1995年の阪神淡路大震災では多くの傷病者が発生しましたが、病院の被災、ライフラインの途絶、医療従事者の確保の困難などにより、いわゆる「避けられた災害死」が500人程度存在したとして大きな問題となりました。医師が災害現場で治療できる必要性が認識され、2005年に全国でDMATが発足しました。
●災害発生時にはどのような活動をされるのですか?
・様々な災害現場に出動し課題を乗り越え支援体制を強化
地域の医療機関の取りまとめのほか、府下全域の災害拠点病院の機能を強化するための訓練・研究機能を有する病院が基幹災害拠点病院です。私たちDMATを保有し、その派遣体制があることも条件の一つになっています。
2011年の東日本大震災では、多数のDMATが被災地に参集しました。一方、津波災害であったため外傷傷病者等への救命医療ニーズが少なかったこと、通信が困難であったこと、派遣調整を行う本部の対応が不十分であったことなど、DMATの活動について多くの課題も明らかとなりました。自然災害である2018年の大阪北部地震、人為災害である北新地のビル火災などにも出動しています。同年は7月豪雨、北海道胆振東部地震もあり、医療機関のライフライン支援の重要性が改めて確認されました。
記憶に新しいところでは2020年、多様な医療チームなどとの連携を含めた災害医療マネージメント力を評価されて、DMATがダイヤモンドプリンセス号の対応を行いました。
・急性期の医療体制を迅速に構築
災害が起きた場合は速やかに被災地域に入り、保健医療の需要を把握し、急性期の医療体制を確立します。より多くの命を救うために重要なのはリアルタイムの情報で、時系列ごとに整理していくこと。そこで当センターでは被害状況を収集するシステムを共同開発し、住吉区専用にアレンジしてiisumi(イイスミ)と呼んで利用しています。災害時避難所や医療機関などと区災害対策本部をつなぐシステムで、各施設が受入れ対応状況などを入力すると本部ですぐに集計され、迅速な分析・対応ができます。その上で緊急治療や病院支援を行い、多くの傷病者を被災地域外の適切な医療機関へ搬送。各地から参集する様々な保健医療活動を行うチームと有機的に連携できれば、死亡や後遺症の減少が期待できるでしょう。
●区民の皆さんへのメッセージをお願いします
・自分の命は自分で守る意識を日頃から備えておきましょう
災害対策には「自助」「共助」「公助」があり、まず「自助」の自分自身でできることを平時に考えてほしいと思います。南海トラフ地震は近い将来発生するといわれています。水害に関してもハザードマップを確認して、有事に避難するのか家に残るのか決めておいていただきたいです。大阪は木造建築が多く火災による被害も大きくなる可能性があり、初期消火が極めて重要です。住吉区の地域防災計画をWEB上で確認できるのでぜひご一読ください。「自分の身は自分で守る」という意識が大切です。避難所に行けばなんでも揃っているわけではありません。最低限の水分や食事、毎日飲んでいる薬やお薬手帳など避難所に持参して行くことを想定して、あらかじめ準備をしておきましょう。
ハザードマップ(QRコードは本紙をご覧ください)
地域防災計画(QRコードは本紙をご覧ください)
大阪市防災アプリ(QRコードは本紙をご覧ください)
●11月11日(土) 住吉区総合防災訓練
・防災訓練に参加して災害に備えましょう
2019年より、当センターDMATは区災害対策本部で住吉区総合防災訓練に参加し、iisumiを利用しています。
今年も、住吉区、薬剤師会、訪問看護ステーションなどの医療の専門家の方々とともに連携訓練を実施します!
問合せ:政策推進課
【電話】6694-9842【FAX】6692-5535
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