不妊治療に取り組む理由の1つとして、加齢と共に卵子・精子などを形成する生殖細胞の機能が低下する、卵子と精子の「老化」の問題があります。
今回の特集では、将来、子どもを持ちたいと考えている皆さんが、卵子と精子の「老化」を正しく知り、そのタイミングについて考える機会を提供します。
■年齢と妊娠率
◇体外受精の妊娠率(30歳~45歳)
公益社団法人日本産科婦人科学会「2021年体外受精・胚移植等の臨床実施成績」を基に寝屋川市企画三課が作成
上のグラフは、令和3年の体外受精での年齢別の妊娠率について、30歳~45歳を抜粋し、まとめたものです。
30歳~34歳の下げ幅マイナス5ポイントに対し、35歳~39歳はマイナス10ポイントと下げ幅が大きくなり、更に40歳~45歳はマイナス21ポイントとなっています。特に41歳から42歳にかけては、6ポイント下がっています。
自然妊娠の場合も、同様の傾向です。
これはあくまで「妊娠率」であり、「出産率」ではありません。年齢と共に流産率が上昇するため(45歳では60%ぐらいは流産となります)、実際に出産する人はもっと少なくなります。
妊娠率の低下は、卵子と精子の質の低下の影響が大きいと言われています。
■卵子の「老化」による質の低下
女性は35歳以上になると妊娠率の下げ幅が大きくなりますが、その主な原因は「卵子の質の低下」です。なぜ卵子は老化するのか、それは卵子が生まれた時からずっと体の中にあり、年齢と共に年をとるからです。そのメカニズムは明らかでなく、現状は残念ながらその予防法もありません。
◇女性の年齢と子どもの染色体異常の頻度
厚生労働省「『不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会』報告書」平成25年を基に寝屋川市企画三課が作成
上のグラフは、女性の年齢と子どもの染色体異常の頻度を表したものです。
女性の加齢に伴って、卵子の基になる細胞(卵母細胞(らんぼさいぼう))も老化し、それにより染色体の数に異常が起きやすくなると考えられています。受精卵に染色体異常がある場合は、うまく妊娠しなかったり、流産のリスクになったりすると考えられています。
■正しく知るべきこと!
・妊娠する力は、特に35歳頃以降から大きく下がり、1歳の差でも変わります。
・卵子も年齢と共に年をとり、質の低下を伴いますが、そのメカニズムについては明らかでなく、現状、予防法はありません。
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