「紅葉に鹿」
この時期、秋の風物詩といえば様々ありますが、一番に思い起こされるのはやはり紅葉でしょうか。
鹿はそんな紅葉と同じくもみじという別名で呼ばれることもあります。その理由は諸説ありますが、花札で鹿と紅葉が共に描かれていることに由来するという説が有力です。
鹿はこのように、古くから日本人に馴染み深い生物ですが、その関係は食文化に限らず、祭祀(さいし)においても古くから関わっており、五穀豊穣(ごこくほうじょう)の信仰の対象とされることが多くあります。その起源は弥生時代頃に遡ると考えられ、銅鐸(どうたく)や絵画土器(かいがどき)において鹿がモチーフとなることもしばしばあります。
そして、市内でも鹿が描かれたと考えられる絵画土器が出土しています。一つは平野遺跡出土のもの、もう一つは船橋遺跡出土のものです。しかし、どちらとも描かれているものが本当に鹿なのかはわかっていません。そして、船橋遺跡出土の土器は弥生時代より少し前、縄文時代の終わりごろのものです。この時期に既に鹿に対する信仰などがあったのか、まだまだ検討していかなければいけません。
さらに、柏原市ではかなり時期が下りますが、平尾山古墳群で石室内に鹿を供えたと考えられる例も見つかっています。これも鹿を何か神聖なものと考え、その力を求めたのでしょうか。
絵画土器は資料館で展示していますので、描かれているのが本当に鹿なのか、それとも別のものなのか、注目して見てもらえればと思います。
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