■「今年も開催!秋の史跡高井田横穴特別公開」
史跡高井田横穴公園で毎年5月と10月に開催している特別公開では、普段は入ることができない横穴を自由に見学できます。また学芸員によるツアーも実施していて、横穴の解説を聞きながら約1時間かけて公園内を巡ることも可能です(詳しくは上記(※本紙参照))。
ツアーのなかで「横穴をつくるのにどれくらいの日数がかかったのか?」という質問をよくされます。具体的な日数は不明ですが、横穴がつくられた約1500年前には刃先が鉄の鍬(くわ)や鋤(すき)といった道具は普及していますし、高井田横穴のある岩盤は、火山灰が長い年月をかけて固まった「凝灰岩(ぎょうかいがん)」で、比較的柔らかい岩質に分類されます。したがって、ひとつの横穴をつくるのに何カ月も必要はなかったと考えられます。当時の「横穴づくり職人」にかかれば、数週間もあれば完成していたかもしれません。
横穴づくりに関して面白いのは、外から見える「羨門(せんもん)」は丁寧に仕上げられているのですが、内部は未完成のものがあることです。第2支群6号横穴はその典型例で、その羨門は高井田横穴のなかでも屈指の荘厳さですが、内部の一部は未完成です。同じような横穴はほかにもあり「横穴づくり職人」にとって、遺体を納める横穴内部の造りは二の次で、外観を特に重視していたのでしょうか。外見を気にするのは、現代の私たちだけでなく、古墳時代の人たちも同じだったと想像すると妙な親近感が湧いてきます。
いろいろな想像を交えながら横穴を観察するのもひとつの楽しみ方です。10月19日10時より、公園にて学芸員一同お待ちしています。
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