人間が人間らしく生きるために、すべての人が等しく持っている権利、「人権」について考えるコラムです。
■食品の安心と知る権利
皆さんが手にしている農産物にどれだけの農薬が付着しているか、わかりますか?
◇食品表示
食品が安全かを知るための方法のひとつに食品表示があります。
食品表示は、消費者が食品を摂取する際の安全性の確保と、自ら判断して食品を選ぶ機会の確保のためにあります。
農産物には、産地表示などが義務付けられていますが、使用した農薬の表示義務はありません。
また、「特別栽培農産物」や「有機JAS」マークがありますが、これらは栽培の過程で対象農薬の使用を減らしたことや使用しなかったことを証明するもので、農産物自体に農薬が付着していないことを証明するものではありません。
◇農薬の規制
農薬の取り扱いは、2つの観点から規制が行われています。
1点目は使用に関してです。国の安全性基準を満たし、承認を受けた農薬のみが使用でき、さらに農薬ごとに使用方法が定められています。しかし、使用を規制すれば良いというものではありません。希釈ミスによる高濃度での付着や、近隣の農薬散布による予期せぬ付着も考えられます。
そこで2点目として、残留する農薬についても基準が設けられています。国内流通農産物は自治体が、輸入農産物は国が、それぞれ検査を実施し監視を行っています。
◇知る権利
冒頭の質問は、「わからない」が答えです。それは、農薬の規制はありますが、収穫された全量の農産物が検査されているわけではないからです。「わからない」と聞くと、不安に思う人もいるかもしれません。では、その不安に対し、私たちは、どうすればよいのでしょう。
それは、「知ること」ではないでしょうか。
「特別栽培農産物」とは何か、「有機JAS」とは何か、自身が口に入れようとしているものが何か、まずは知ることです。大切なのは、知ることをきっかけに、食品に潜むリスクについて考え、それを踏まえて自ら判断し、自らの意志で食品を選択することです。そして、その積み重ねが「安心」につながるのではないでしょうか。
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