「ヤングケアラー」という言葉を聞いたことがありますか。若くして家族を支える子どもたち。今号ではこのヤングケアラーについて考えていきます。
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【1】ヤングケアラーとは誰のこと?
「ヤングケアラー」は、本来大人が担うとされる家事や家族の世話を、日常的に行っている子どものことを指します。家族の中にケアを必要とする人がいる場合、例えば下図のように、家族の身体的・医療的・精神的なケア、きょうだいの世話、家族のための通訳や労働など、さまざまな役割を担っています。
ここで言う家族の「ケア」と「手伝い」との違いは、ケアを行うことが、子どもの日常生活や学業、友人関係、将来設計に大きな支障を与えているかどうかということ。本来なら享受できたはずの、子どもとしての時間と引き換えにケアをしている子どもたちがいます。
▽ヤングケアラーの事例
・障がいや病気のある家族に代わり、買い物・料理・掃除・洗濯などの家事をしている
・家族に代わり、幼いきょうだいの世話をしている
・障がいや病気のあるきょうだいの世話や見守りをしている
・目を離せない家族の見守りや声かけなどの気遣いをしている
・日本語が第一言語でない家族や障がいのある家族のために通訳をしている
・家計を支えるために労働をして、障がいや病気のある家族を助けている
・アルコール・薬物・ギャンブル問題を抱える家族に対応している
・がん・難病・精神疾患など慢性的な病気の家族の看病をしている
・障がいや病気のある家族の身の回りの世話をしている
・障がいや病気のある家族の入浴やトイレの介助をしている
【2】どれくらいいる?
今年1・2月に市内の小学5年生と中学2年生(計約5,800人)に無記名のアンケート形式で実態調査を実施。全文は市ホームページに掲載しています
(1)家族の世話をしている割合
・小学生…約8%
・中学生…約6%
「家族の中にお世話をしている人がいる」と回答した人は、小学5年生で7.8%、中学2年生で6.0%。小学生で13人に1人、中学生で17人に1人の割合でいることが分かりました。
(2)世話に費やす時間
平日1日当たりの世話に費やす時間は、小・中学生いずれも「3時間未満」が最も高く、一方で平均値は小学生は3.5時間、中学生は4.8時間でした。
(3)1人で世話をしている割合
・小学生…約15%
・中学生…約12%
世話を一緒にしている人について、「自分のみ」と回答した小学生は14.7%、中学生では12.2%に上りました。
(4)世話について相談した経験
世話について誰かに相談した経験について、小・中学生いずれも「相談したことがない」と回答した人が半数以上でした。
【3】どんな問題がある?
ケアによる影響は、まず学業や学校生活に表れやすくなります。例えば、遅刻や欠席、授業中寝ている、宿題ができていない、成績が低下している、進学・就職・やりたいことを諦めるなど。その子の人生に大きな影響を与えます。
また健康面や精神面でも、睡眠不足や栄養不足のほか、表情がさえなかったり、元気がなかったり、さらにうつ状態になる場合もあります。
友人関係でも、遊ぶ時間がなかったり、話題が合わなかったりして「自分は周りと違う」と悩んだり孤立を感じたりすることもあります。
一方、つらい状況でも、他人に相談できない(しない)場合も。家族を助けることは当たり前だ、家族に迷惑をかけたくない、かわいそうと思われたくないなどの思いが理由で、その多くが1人で抱え込み、状況がより深刻になってしまいます。
▽ヤングケアラーへの影響の例
・勉強や受験、進学
・部活などの課外授業
・自分だけの時間を持つこと
・友だちと放課後に遊ぶこと
・子どもらしく自由に夢を描くこと
・理解されること、気軽に相談すること
問合せ:子育て総合支援センター
【電話】686-3030
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