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自治体の皆さまへ

【クローズアップ2】NO!スポハラ(3)

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大阪府高槻市

■スポハラはNO!と言える社会を
◆Interview
スポハラを防ぐために、保護者はどんなことができるでしょうか。専門家に話を聞いてみました

大阪体育大学スポーツ科学部 教授
土屋裕睦さん
公認心理師・スポーツメンタルトレーニング上級指導士として日本代表選手やプロスポーツチームの心理支援を実践。パリオリンピックには、日本選手団の心のケアを行う専門家・ウェルフェアオフィサーとして帯同

○社会の認識をアップデート
スポハラは、指導者から子どもに対して行われるものが一番多いです。私はこの問題を解決するために指導者に対してアプローチを続けてきましたが、活動を進めていくうちに保護者の意識を変えていくことも重要だということが分かってきました。保護者を含む社会全体が、「スポハラはNO!」と言えるように認識をアップデートしていかなければなりません。そのためにはまず、スポハラがなぜなくならないのかを考えていく必要があります。

○「効果もある」という思い込み
スポーツをしている子は元気で明るいという思い込みから、スポハラを軽視しがちな大人は多いです。強くなるためには体罰や暴言もいとわないと考える保護者もいて、スポハラを助長してしまっています。「スポハラには効果もある」という認識は改める必要があります。
また、指導者の権限が強くて意見が言いにくかったり、任せきりで何が起こっているか把握していなかったり、第三者の目が届きにくい環境だったりするとスポハラが起きやすいということが分かっています。このような状況を作らないために、保護者の皆さんがスポーツの指導の現場を見守っていく必要があります。

○悪影響と負の連鎖
スポハラは指導者にメリットがあっても、子どもにはデメリットばかりです。
罰を与えて行動を変えようとすると、「罰が嫌だからやる」ようになって主体性が育たなくなってしまいます。やらされる練習を楽しめず、スポーツを辞めてしまうことも。またスポハラを受け続けるとストレスや不安が増大してうつ状態になることもあります。今は問題がなくても、自尊感情が育たず自傷行為をしてしまったりすることがあります。
さらに、スポハラを受けてきた子どもが指導者になったときには、他の指導方法を知らないため、自身もスポハラをするという負の連鎖が生まれます。

○子どもの気持ちを大切に
では次に、スポハラをなくすために、保護者はどう関わっていけば良いでしょうか。
スポーツで大切なのは主体性です。困難な問題も、自分の力で解決できると大きく成長できます。子どもの主体性を大事にしながら解決に向けた努力を見守る姿勢が必要です。
そのために、保護者と子どもの会話はとても大事です。子どもはつらい思いをしていても、親を悲しませたくないと思って我慢してしまう傾向があります。なかなか言い出せない気持ちを理解し、子どもの身に危険なことが起こっていないか、気を付けましょう。また子どもはスポハラが何なのかが分からず、指導者のすることが正しいと思っていることが多いです。保護者自身の目で指導現場を確認することも大切です。
一方、子どもが助けを求めてきたときは迷わず手を差し伸べて、緊急避難が必要です。「もう辞めたい」などと言えるのは大事なことですし、かなり追い詰められた危険な状態かもしれません。それに対して、「もっと頑張らなきゃ」などと強制してはいけません。子どもに寄り添い、気持ちを大切にしてあげましょう。

○保護者が決めてしまわない
どのようなケースでも、保護者の判断で習い事を辞めさせたり、他のスポーツを勧めたりせず、子どもが自己決定できるようにサポートするといいですね。自分で決めることにより、自信を持って次に進むことができます。子どもの自主性に「任せる」ようにしながら、決して無関心ではなく、いざというときは助けるという態度で寄り添う。子どもの主体性を尊重する気持ちを大事にしましょう。

○GOOD保護者を目指そう
スポハラのデメリットや起きやすい状況、対処法などについて、気付いたことを保護者同士で共有して、みんなでGOOD保護者を目指してほしいです。お互いが学び合うことで、みんなで「スポハラはNO!」と言える社会をつくっていくことができると思います。

・「保護者の皆さんは、子どもと指導者両方に関わる重要な存在。緩衝材のような役割を担ってほしい」と話す土屋さん

◆子どもの不安を感じ取ったら
▽傾聴
子どもの一言一言にじっくりと耳を傾けて、話しやすい雰囲気づくりを心掛ける

▽尊重
解決したいことがあるとき、子どもたちだけで解決できるか任せつつ、そっと見守りサポートする

▽共感
つらいことを話してくれたら「大変だったね」と共感し、気持ちの整理をサポートする

■スポーツの指導の現場で保護者が気を付けるポイント
〔1〕指導者に任せきりにせず、できる限り練習を見学する
毎回は難しくても、保護者同士で順番を決めるなど負担の調整をしましょう。指導者と意見交換するきっかけにもなります。

〔2〕過度な期待や、スポハラを容認する発言を控える
指導者がプレッシャーに感じてスポハラにつながったり、保護者がスポハラを容認したりすると、スポハラはなくなりません。

〔3〕保護者自身が競技にのめり込み過ぎず見守る
子どもや指導者と一緒になってのめり込むと子どもの主体性が保てません。ある程度距離を置いて客観的に見守りましょう。

■12/4~10 人権週間に関するイベント
◆人権を考える市民のつどい
ID:045598
夢と勇気と力がもらえる京谷和幸さんのスポーツと人権の講演会のほか、パネル展を開催します
場所:生涯学習センター2階多目的ホールなど
料金:無料

□講演会 広がる可能性~事故が教えてくれたこと
日時:12/7(土)14:00~16:00。申込順300人。
申込:11/5(火)からウェブ申込、窓口、電話、ファクスで(基本事項と保育の有無記入)
※手話通訳・要約筆記あり。保育あり(要予約)

□特別展示「スポーツと人権」・人権啓発入選作品展
日時:12/6(金)・7(土)10:00~17:00

問合せ:市人権まちづくり協会
【電話】647-7825【FAX】647-7233

◆フェスタ・ヒューマンライツ
ID:132704
舞台発表、展示、屋台、バザーなどのイベントを開催します
日時:12/1(日)9:30~16:00
場所:富田ふれあい文化センターなど
料金:入場無料

問合せ:【電話】694-5451

◆人権週間特設相談
ID:074430
人権についての悩みや心配事など人権擁護委員にご相談ください。電話(【電話】685-3748)も可
日時:12/14(土)14:00~16:00
場所:男女共同参画センター

問合せ:人権・男女共同参画課
【電話】674-7575

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問合せ:人権・男女共同参画課
【電話】674-7575

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