【2】MY DREAM パエリア
◆世界一のパエリアを高槻から。
上級パエジェロ※ 檜尾(ひのきお)信吾さん
グルメがひしめく高槻で、スペインの郷土料理・パエリアを極めると決め、世界一を探求するなかで知ったのは、1000年以上前から地域に根差した食べものが持つ本当の魅力。料理を囲み、分かち合いながら楽しむ豊かな時間だ。
▽Profile
檜尾信吾さん
spanish bar and cafe NEUTRALで店主・松下さん(上級パエジェロ)と一緒に国際パエリアコンクールで世界一を目指す。令和4年日本代表選考大会2位。全日本パエリア連盟の一員として普及活動にも取り組む
※全日本パエリア連盟公認のパエリア職人
現地のパエリアは米を味わう料理。具材のうまみが凝縮され、固すぎず柔らかすぎない食感を目指す。コンクールで作るのは伝統的な「パエリャ・バレンシアーナ」。主な材料は米、鶏肉、ウサギ肉、塩と水。均等にソカラ(カリッとしたおこげ)をつける技術も重要
◆大きな丸い鍋からつながる人と人、大切な時間
檜尾さんが「パエリアで世界一になる」と決意したのは4年前。まずは日本予選優勝が必要と知った檜尾さんは松下さんとチームを組んだ。突き詰めるうちにわかってきたのは、発祥の地・バレンシアで大切にされてきた伝統や文化。大阪人が当たり前のようにタコ焼きが焼けるように、バレンシアでは誰もが作れる日常食で、親から子へと受け継がれるのだそう。「週末にはご近所さんも呼んで、鍋を囲んでわいわい食べる。今の日本人が忘れかけたようなものがあると感じます」と檜尾さん。
コンクールではパエリアを薪を使って炊き上げる。どんな環境でも戦えるように、2人は雨の日も風の日も、原の田んぼ脇や安満遺跡公園でパエリアを作り続けた。パエリアの魅力を届ける活動も両輪に。そんな姿に応援の輪が広がり、応えることで支える人がさらに増えていく。今や「鍋から生まれるコミュニティ」が2人の原動力だ。「将来、日本予選を高槻で」と新たな目標も生まれた。人が集まり触れあう時間にふさわしい「本当のおいしさ」を。世界一から始まった夢は高槻に新たな魅力を育みそうだ。
◆檜尾さんがアドバイス
▽おうちパエリアをもっとおいしく作るコツ
炊き方で決まるというパエリアは、具合を見ながら作れるフライパンがおすすめ。好みのレシピで試してみて。
1 水加減は多めに
米1:水3+具材が基本。途中で水分がなくなると米がうまく炊ききれないので多めがベター。スープで作るレシピも同様。分量が合わないときは水を足して。
2 最初の強火が肝心
まずは強火で4~5分、中からボコボコ泡立つような状態(左)で煮立たせたら中弱火に。表面に粘りのある小さな泡がプツプツ出る状態(右)をキープしながら15~16分で炊き上げて。
※詳しくは本誌をご覧ください。
3 鍋を揺すって焦げつかせない
焦げつきそうと思ったら鍋を揺すって。混ぜるのはNG。時々ハンドルを回すように揺すって火が均一に入るように調整を。弱火で時間をかけてしまうとべちゃっとなるので注意。
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