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【たかつき歴史アラカルト119】歌枕の地

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大阪府高槻市

古くから和歌に詠まれ、特定の情緒や言葉を連想させる地名を「歌枕(うたまくら)」と言います。奈良時代の万葉集や、古今和歌集を始めとする平安・鎌倉時代の勅撰和歌集に見られる地名が、歌学書などに収録されて定着しました。市内にも、歌枕の地とされる場所があります。
淀川の河港であった三島江は「玉江」とも呼ばれ、万葉集以来、コモやヨシが生い茂る情景が詠まれています。平安時代の源氏物語や栄花物語にも三島江を詠んだ歌が見られます。
玉川の里は、全国に6カ所ある名高い玉川(六玉川)の一つ「三島の玉川」が流れる里です。ウノハナの咲く初夏の情景が多く詠まれました。
市域を縦断する芥川も歌枕の一つ。「飽く(飽きる)」という語の掛詞として、恋人の心変わりを憂う恋の歌に多く詠まれました。
摂津国の歌枕「かんなびの杜(もり)」は、島本町と隣接する神内山の麓の杜とされています。西国街道(旧山陽道)が通っていることから、西国へと下る人々の旅情や別離の思いが詠まれました。
安満山の南に鎮座する磐手杜神社(古くは安満神社)の周辺は「磐手の里」と呼ばれ、社頭の杜が摂津国の歌枕「いわての杜」にあたると、江戸時代の地誌に紹介されています。「いわて」は「言わで(言わないで)」の掛詞とされ、密かな心情を紅葉や緑豊かな情景に例えて詠まれました。
高槻が風趣ある土地として愛されてきたことがうかがわれます。
(しろあと歴史館)

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