◆質問 大谷敏治議員
▽デジタル技術の活用について
1.情報収集や電子決済など、住民はもとより観光客にとっても利便性の高いサービスの提供は、通信が繋がっていることが大前提となる。携帯電話の不感地域を解消するためには、村の力も必要である。すべての住民や訪れてくれる方々がデジタルの恩恵を受けられるよう、わが村は、通信基盤の強靱化を図るべきと考えるがどうか。
2.母子手帳アプリは、利便性や安心感につながる取り組みであることから、早期に導入し子育て支援においてもデジタル技術を活用するべきと考えるがどうか。
3.高齢者の事故発生場所は、約8割が住宅内となっており事故の早期発見のためにはデジタル技術を活用した見守りシステムの効果が期待でき、わが村としても支援を考えるべきと考えるがどうか。
4.生成AIの利点を最大限活用できる環境を整えることは業務効率化に向けた重要な一歩であると同時に、住民サービスの向上につながることが期待できる。積極的に導入していくべきと考えるがどうか。
◆答弁 野村村長
本村のデジタル化については、令和5年度に策定した山添村デジタルトランスフォーメーション推進計画に基づいて、『行政と住民がデジタル技術も活用して、住民本位の行政・地域・社会等を再デザインしていく』と位置付けている。
近年多くの自治体で、職場や地域のデジタル化を、『デジタル技術の導入のみ』に、こだわった手法で取り組んだことにより、かえって業務の停滞を招いている事例も見られることから、本村では、業務の改善を前提として、アナログの整理から始めることに取り掛かっているところである。
まず、携帯電話不感地域の解消と通信基盤の強靱化について、村内の集落部分においては、民間の携帯電話会社により、電波の強弱はあるが、概ね携帯電話での通信は可能な状況と判断する。集落以外の地域においては、まだ繋がりにくい場所もあると思うが、携帯電話基地局の新たな設置には多額の費用も要するため、今は考えていない。ただ、カントリーパーク大川を含めての本村観光地における携帯電話不感地域への対応策については、3社に問い合わせたところ、1社は、近くの電波塔のアンテナを調整することにより電波を受けやすくなることがあるので調整するとの回答を得た。またもう1社は、電波塔を建てる場所を提供いただければ協力できるかもしれないという回答であった。ただ、これらの回答は電波が入りやすくなることを約束されたわけではない。観光地におけるリスクマネジメントは必要であるので、その一つとしての緊急連絡体制は整備していかなければならないと考える。
次に、母子健康手帳のデジタル化について、国はマイナンバーカードの個人向けサイトと連携し、乳幼児健診の結果や予防接種の記録をアプリに反映する仕組みを構築中であり、2026年以降に全国展開することを目指している。現在、紙で発行されている母子健康手帳のみが正式な手帳として認められており、スマートフォンなどにインストールできるアプリは補助的な役割であり、紙の情報を自身で入力する仕様になっている。県内で電子母子健康手帳を導入している自治体はあるが、乳幼児健診や予防接種の案内などの情報提供アプリとして活用されているのが現状である。今後、国の動向に合わせて導入するか検討したい。
次に、高齢者の見守りについて、本村では高齢化率が50%を超えており、65歳以上の方は約1,600人となっている。他者との関りが希薄化する中で、高齢者の孤立を防ぐ対応として、家族の見守りだけでなく、地域住民同士の見守り、民生委員や有償ボランティアの見守りを行っている。
また、独居老人宅内の緊急時対策として「緊急通報体制等整備事業」を実施しており、体調不良・相談事があれば対応できる対策をとっている。
デジタルを活用した見守り体制を導入する自治体もあるが、本村では、行政、地域、協定を結んでいる郵便局・コープ・農協などの事業者と見守り体制を進めていきたいと考えている。
次に、生成AIの活用については、村職員の業務の在り方を大きく変革させる可能性を秘めている一方、様々なリスクも懸念される。そのマイナス面を見極めながら、今後の活用について検討を重ねたいと考えている。さしあたり、持続可能な入門分野での取組として、本年度より、AI文字起こし録音機一台を導入し、全庁的に会議録作成に使用し始めている。職員の業務効率に効果があるか検証していきたい。
◆質問 野村信介議員
▽山添分校の教育および村の農業振興について
昨年末、山添分校の在り方検討委員会が「分校は存続・本校化に努めるべき」と答申したことを踏まえ、村長は分校の活性化に傾注されている。その一つがオーガニック農業を分校の教育の場に取り入れていくというものである。これは、当村が将来予定する「オーガニックビレッジ宣言」と密接に関連している。
1.全国には既にオーガニックビレッジ宣言した村が四つある。これらの村には既に有機農業者が活躍している素地があった。この点、当村で推進するには強いチーム作りが必要と思うが村長の考えは。
2.オーガニック農業を学ぶ高等学校となれば、全国的な注目も必死である。遠来の入学希望者を受け入れる施設が絶対的に欠乏している。本校化にむけ、下宿受け入れ制度や寮の整備などを進めるべきだが村長の考えは。
◆答弁 野村村長
まず、オーガニックビレッジ宣言の準備について、本村の有機農業者は、村が把握しているのは十数名で、耕作面積もまだまだ広くない。今年度取り組んでいる、有機農業産地づくり推進事業の趣旨は、地域内外の住民を巻き込んだ取り組みの試行と、体制づくりの推進である。開校しているオーガニックスクールで、人の育成、そして人数の拡大、更には面積や販売量の拡大を目指し、持続可能な農業振興と、環境に配慮した新たな農法で村の活性化を図ることである。「強いチーム作り」は、「人づくり」からだと考えている。先日、村内の有機農法実施者による懇談会を持ち、有意義な会になった。このような機会を増やし、実施者の力を借りながら共に進めていきたい。
次に、「分校の生徒受入れ態勢」について、本校化するかどうかにもよるが、もし本校化し、全国から入学希望がある場合、受け入れ態勢はその保護者の意向をふまえ下宿の斡旋や寄宿舎の整備など、地域の協力を得ながら学校と一緒に考えなければならない。
また、村としてはこども園や義務教育学校の教育内容に賛同いただける方や子育て世代の方々が村内に移住定住しやすい環境づくりも今後進めていく計画である。空き家の整備や子育て世帯住宅の建設等について、今後も更に検討を重ねたい。
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