文字サイズ
自治体の皆さまへ

【特集】ダーツの効果 ~軽度認知症なら改善!~ (2)

2/39

宮城県七ヶ浜町

■演題 ダーツで健康とウェルビーイングを高めよう
宮口 英樹(みやぐち ひでき)さん
広島大学大学院医系学研究科教授 博士(保健学)認定作業療法士
趣味 キャンプ

◇心が良い状態でいること
私は、笑いが健康に役立つということを研究してきました。笑顔は脳の活動にプラスになるという研究成果があります。作り笑顔をするだけでも、頭の活性化につながるという研究成果もあります。例え、話が面白くなくても笑顔をつくると元気になるということです。
今日お話しするウェルビーイングというのは、ウェルはいい状態のことで、ビーイングとは、ありのままということです。つまり心が良い状態でいることをウェルビーイングといいます。これを日本語では、幸福とも訳されます。
飯田先生の話を聞くと、脳が活性化し、ダーツは体のバランスが良くなり、健康に良いという話がありました。
しかし、皆さんの中には本当かなと、思われている方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
ダーツは、身体のバランス機能や体重を支える下肢筋力が向上し、転倒防止にもつながるということがわかってきましたが、もう一押し、本当にそうなんだろうか?というのが私の話です。

◇転倒のリスクが大きく減
広島県と長崎県の二つの町で平均年齢が73.7歳の65歳以上の男性女性23名に協力いただいて、ダーツの投げる姿をカメラで撮って分析してみました。
投げる前、投げている時、投げた後の3つの動作をハイスピードカメラで撮り、ダーツを投げた時の身体の軸がどのように傾いているかを見ました。(写真次ページ右上参照)
皆さん、最初は、いろいろな投げ方をしています。投げる時の自分のフォームを知り、練習して投げ方を変えられれば、身体のバランスも良くなることが、今までの分析からわかってきたことです。ダーツの投げ方を意識したり、変えたりすることは、注意力や集中力の向上にもつながります。
また、両腕を上げて、できるだけ前方に手を伸ばす検査(写真次ページ左)では、ダーツをする前と練習するようになってからを比較し、転倒リスクにおいてのダーツの効果を調べています。始めて3カ月までは、効果は表れませんでしたが、6カ月になると顕著に表れ始めました。
ダーツを上手になりたいというのが一番大きなモチベーションになりますね。上手になりたいから練習しよう。そのためにはうまい人に教えてもらおう。うまい人の投球フォームをまねてみよう。そうするともう少し体重を前にしなければいけない。
そうすることによって、知らず知らずのうちにバランスの練習がされています。転倒するリスクが大きく減っていることが統計的にも表れています。

◇幸せ感を感じやすい
ダーツと幸せ感の関連については、練習することで、身体のバランスが良くなるということは、活動範囲が広がり、外に出る機会が増えてくることにつながります。外に出る機会が増えると人に会う機会も増えます。人とのつながりが増えることが幸せ感には大切だということがどの本にも書いてあります。
七ヶ浜はダーツで、さらに人と人のつながりが生まれ、小さな集団やいろいろなコミュニティともつながってくる。そうすると幸せ感を感じやすくなります。

◇七ヶ浜で学んだこと?
Shall we darts!(シャル ウィ ダーツ) は、「ダーツをしませんか」と訳しますが、これは間違いだったなと…。
khb大賞となった七ヶ浜町のCMのタイトルは、「ダーツをしませんか?」ではなくて、「あんだもやっか?」ものすごくいい言葉ですね。
この言葉、みんなと一緒にやりましょうという言葉で、幸福度とまさに通じるんですよ。
この言葉には一緒にやっていくこと、人を思いやる力を感じます。この協調性が幸せ度につながっていきます。
その一つのツールとして、ダーツが有効に活用されていけばすごくいいですね。

※詳しくは広報紙5ページをご覧ください。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU