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祝 世界かんがい施設遺産認定・登録 南原穴堰(みなみはらあなぜき) 先人たちの思いをつなぐ

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宮城県大崎市

9月3日に鳴子温泉地域の「南原穴堰」が、国際かんがい排水委員会(ICID)国際執行理事会で、「世界かんがい施設遺産」に認定・登録されました。世界かんがい施設遺産は、建設から100年以上が経過したかんがい施設で、農業のみならず地域の発展への貢献度が高い施設として認定および登録されるものです。
南原穴堰は、山間地での新田開発を目的として、1644年から3年をかけ築造されました。総延長は1880メートルで、そのうち手掘りで造られた隧道(ずいどう)(トンネル)は1330メートルに及び、約380年経過した現在も農地を潤しています。
当時の高い技術力と地域の創意工夫により、農業とコミュニティーの発展に貢献している施設として、高い評価を受けました。
このほかにも本市には、岩出山地域にある同じく世界かんがい施設遺産の「内川」(平成28年登録)や世界農業遺産「大崎耕土」(平成29年認定)などの誇るべき遺産があります。先人たちが残した歴史や文化、技術に触れ、〝生きた遺産”の保全・活用に取り組みながら、次代につないでいきましょう。

■南原穴堰を支える人たち
南原穴堰の維持管理は、地域住民で組織する「南原穴堰水利組合」が担い、季節に応じた水路の清掃や整備、修繕の作業をしています。日頃から維持管理に取り組んでいる組合長の上野孝作(こうさく)氏と次代を担う上野滝人(たきと)氏に話を聞きました。

▽上野孝作氏
組合の一員として南原穴堰の維持管理に取り組んで、40年以上が経過します。
南原穴堰は、あって当たり前の存在で、生活の一部です。上水道が整備されるまでは、農業用水のみならず、飲み水を含めた全ての生活用水が南原穴堰によって賄われていました。
江戸時代に知恵と技術を集結して開削された南原穴堰が、地域住民によって受け継がれて、現在も地域の農業を支えています。隧ずい道どうの内部には手掘りの跡や作業のための明かりをともした燭しょくだい台が残り、先人たちがいかに苦労して造り上げ、守り伝えてきたかを感じることができます。
現在、南原穴堰水利組合は10戸で活動していますが、その人員で維持管理していくのは難しい状況です。以前、中山平地区に住んでいた人など外部からの協力を得ながら、作業に取り組んでいます。今後は、地域内外のコミュニティーを大切に、維持管理に取り組める場づくりを進めていきたいです。次代を担う若手に、体験を通して取り組みの内容を伝え、先人たちから受け継がれた南原穴堰を後世につなげていけたらと思います。

▽上野滝人氏
将来は農家になると決め、大学卒業後は茨城県の民間企業や大規模露地園芸農家での仕事を通して、経営や園芸の勉強をしました。社会人として10年の経験を積み、令和4年4月にUターン移住し、就農しました。
子どもの頃の南原穴堰の印象は、「家の裏を流れるきれいな小川」です。水遊びをしたり、祖父とドジョウを捕ったりした思い出があります。
世界かんがい施設遺産に登録されましたが、将来的に地域の高齢化が進み、維持管理に必要な人員の確保が難しくなっていきます。外部からの協力者を得るため、温泉や食などの他の資源も活用した体験型イベントの開催やSNSによる情報発信を考えています。また、教育的な価値もある南原穴堰を活用して、市内外の子どもたちに学びの機会を提供していきたいです。
地道に米作りを続けることが、南原穴堰を守ることに直結すると思います。子どもの頃に祖父から言われた「この土地を守るんだ」という言葉を胸に、さらに次の世代につないでいけるよう、自分ができることを一つずつ取り組んでいきたいです。

■世界かんがい施設遺産「南原穴堰」認定登録記念シンポジウム
日時:11月8日(金) 14時30分~17時15分
場所:アインパルラ浦島
内容:認定登録報告、基調講演、小谷(こたに)あゆみ氏(農ジャーナリスト)によるパネルディスカッションなど
定員:200人
申込:10月31日(木)まで、氏名・電話番号・所属を明記してEメール(【E-mail】osaki-giahs@city.osaki.miyagi.jp)、または申込フォームで申し込み

問合せ:農政企画課世界農業遺産未来戦略室
【電話】23-2281

問合せ:農村環境整備課農村整備担当
【電話】23-2318

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