「地球温暖化」。これまでは、どこか遠い国の出来事のように感じられた事が、他人事でいられなくなりました。
今年の夏は、昨年に続き、異常と思えるほど真夏日が続きました。
栗原や日本、そして地球に今、一体何が起きているのでしょうか。
今月は地球温暖化にスポットを当て、これからの栗原の取り組みを考えます。
■肌で感じる地球温暖化
市内の年間平均気温は長期にわたり上昇しています。(表1)夏のうだるような暑さや暖冬などを実感している人も多いのではないでしょうか。
地球温暖化の影響は、市内でも出始めています。令和5年産米では、一部で高温障害が発生し、米の品質に影響が出ました。また、今年8月には、日本の南で海水温が高い状況が続き、強い勢力を維持したままの台風が、東北地方に上陸。お盆を前に市内の避難所で不安な夜を過ごした人もおり、地球温暖化は、今や私たちの生活や命に関わる身近で大きな問題に発展しています。
表1 栗原市の年間平均気温の変化
(観測地点:築館)
出典 気象庁ウェブサイト
■地球温暖化の仕組み
太陽から降り注ぐ光は地球の地表を暖め、その熱は、やがて宇宙へ放出されます。この放出される熱を長く地球上に留め、気温の上昇に影響しているのが、温室効果ガスです。温室効果ガスは、石油や石炭など化石燃料の燃焼で生じる二酸化炭素や、メタンガスなどを指します。この温室効果ガスが増えすぎると、必要以上に地球上に熱がこもり、地球温暖化を招くことになります。(図1)
世界気象機関(WMO)は、昨年の世界の平均気温が18世紀後半の産業革命以降、過去最高となる1.45度の上昇を記録したと発表しました。地球温暖化は、経済活動の他、森林破壊による二酸化炭素吸収量の減少が主な原因と指摘されています。
■日本の責任と取り組み
地球温暖化。それは、地球規模の課題であり、一国では克服できません。平成27年、地球温暖化対策を進めるパリ協定が採択され、世界159の国と地域が参加し対策を進めることとなりました。日本政府は、協定参加国として、基準になる平成25年と比較し、令和32年までに温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにするカーボンニュートラルを打ち出しています。このカーボンニュートラルは、排出する温室効果ガスと、森林などが吸収する二酸化炭素などの温室効果ガスの量を差し引き、実質的に排出量をゼロにするものです。
また、政府は、カーボンニュートラルの実現に向け、先行して令和12年度までに、平成25年度と比べ46パーセントの温室効果ガス削減を目指しています。
世界各地から排出される温室効果ガスのうち、75パーセントを二酸化炭素が占めています。(図2)
日本は、この二酸化炭素の排出量が世界全体の3パーセントを占め、世界で5番目に多い二酸化炭素排出国です。(図3)
日本の場合、二酸化炭素の排出量のうち、電力の発電から生じる割合が約40パーセントになっています。また、そのうちの約70パーセントは、化石燃料を燃やす火力発電が占めています。
発電による二酸化炭素を減らすため、太陽光発電など、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーを使った発電へ転換が求められています。しかし、再生可能エネルギーは天候など自然条件で発電量が左右されてしまうため、安定した電力供給のためには、発電量の調整ができる火力発電の存在が欠かせない現状があります。つまり、カーボンニュートラルには、越えるべき高いハードルが存在しています。
日本政府は、洋上風力発電の導入促進や太陽光発電の利用、森林資源の循環利用など、多くの手段を組み合わせ、目標達成を目指しています。また、発電効率が悪い火力発電所の稼働停止も考えています。
さらには、カーボンニュートラルを支える新たな産業の育成も進んでおり、東北では、秋田市沖で洋上風力発電が既に始まっています。
図1 地球温暖化の仕組み
※図は本紙3ページをご覧ください
◆地球温暖化はどんなしくみで起こるの?
▽約200年前の地球 産業革命が始まった頃の二酸化炭素の濃度は、約280ピーピーエムでした。
太陽からの光→大気(温室効果ガス)→熱を吸収→熱の放出
▽現在の地球 二酸化炭素の濃度は、平成25年には約400ピーピーエムを超えてしまいました。
太陽からの光→大気(温室効果ガス)→熱をもっと吸収→熱の放出
図2 温室効果ガス種類別排出割合
図3 二酸化炭素に占める主要国別排出割合
出典 図1~3
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト
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