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【特集】明日の元気をつくる食(2)

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宮城県栗原市 クリエイティブ・コモンズ

食を通した健康づくりや、生活習慣病の予防、食育推進に取り組む、栗原市食生活改善推進員協議会(食改)会長の佐藤さんに話を伺いました。

栗原市食生活改善推進員協議会
会長 佐藤 けい子(さとう けいこ)さん(若柳大目)

■草の根活動で広げる食育の輪
食改は「私たちの健康は私たちの手で」を合言葉に活動している、全国組織のボランティア団体です。市内には、各地区ごとの分会と市全体の協議会があり、地域での食育や郷土料理の普及活動といった草の根活動を通じて、食育の輪を広げています。活動時には、胸にヘルスメイトと書かれたピンクのエプロンを着ているため、栗原市民まつりなどで私たちの姿を見たことがある人もいるかもしれません。
これまでの活動で実感したのは、幼少期から思春期にかけて食への興味関心を育むことの大切さです。この時期に身に付いた食の知識や経験は、将来子どもが親になったときにも引き継がれ、次世代へと影響していきます。
食改では、幼稚園児とその親、男性を対象にした栄養教室や、迫桜高等学校の生徒を対象にした食育事業「はくおうキッチン」などを実施しています。「はくおうキッチン」の目的は、食の自立に向けた望ましい食習慣の実践と郷土料理の伝承です。高校生は、食生活の自己管理を実施する時期。しかし、生活リズムのずれ、肥満や過度なダイエットといった問題が生じる時期でもあります。
最近は共働きの家庭が多く、一緒に料理をしたり、食卓を囲んだりする時間を作れないこともあると思います。そうしたとき、子どもたちが自分にとって必要な食を選択し、調理ができれば、健康問題を防ぐ力になります。
参加した生徒たちは、学習成果をポスターにして校内に掲示してくれました。栄養素のこと、郷土料理のこと、私たちが若い世代に伝えたい内容が詰まったポスターは、多くの生徒の目に留まったことでしょう。生徒同士の食育の輪は、いずれ親にも広がり、生徒たちが親になったときにも生かされると思います。草の根活動でまいた未来の種が、さまざまな場所で花開くことを願っています。

■小さなことから一歩ずつ
家庭で手軽に実践できる食生活改善法の一つが、具だくさんみそ汁です。生野菜の方が栄養価は高いですが、たくさん食べるのは大変です。みそ汁に入れて温野菜にすることで容量が減り、一度に食べられる野菜の量は何倍にもなります。1日1回はみそ汁を食べるという人は多いと思うので、栗原で収穫されたさまざまな種類の野菜を、みそ汁の具材に取り入れてみてください。
また、野菜の摂取と併せて意識してほしいのが、塩分です。料理を食べる前にしょうゆなどの調味料をかけてしまう人が、高齢者に多く見受けられます。色も味も濃い料理に慣れているため、色が薄いと味も薄いというイメージを持ってしまうようです。調味料をかける前に「まずは一口食べてみる」を意識して食事をしましょう。
薄い味付けに慣れることも大切です。最初は物足りなく感じるかもしれませんが、塩分を減らすことで食材本来の味を楽しむことができ、次第に味の薄さが気にならなくなってきます。この他にも、昆布やカツオといった、だしのうま味を生かして塩分を減らす調理方法も効果的です。
健康は、日々の食事の積み重ねに左右されます。自分の体のために必要な栄養素や、食事で気を付けた方が良いことは何なのかを知り、小さなことから一歩ずつ、実践してみてください。

■あなたも困っていませんか? 栄養士が答える 食のお悩み相談所
子育て世代、大人、高齢者に多い、食に関する悩みや疑問を栄養士に聞きました。

市民生活部健康推進課
佐藤 有衣子(さとう ゆいこ)栄養士
佐久田 柚(さくた ゆず)栄養士

Q 子どもの偏食が治らない。どのような工夫をしたらよいか。
A できることから少しずつがポイント
調理法の工夫や楽しい食卓、手伝いの経験などによって食べられるようになることもあります。
嫌いな食品を遠ざけてしまわず、小さなことから少しずつ進めていきましょう。

Q 米抜き、油抜き、糖質抜きなど、特定の食材を抜くダイエットをしてもよいか。
A 摂取エネルギー量が不足し筋肉量が減少するため、痩せにくく、体重が戻りやすい体になってしまいます。
糖質や脂質は、エネルギー源として大切な栄養素です。バランス良く食べることや、普段の食事、間食を見直すことを意識しましょう。

Q 加齢で食が細くなり、栄養不足が心配。手軽に栄養を取るコツを知りたい。
A 朝・昼・夕の3食と間食で、食材の「ちょい足し」をするのがおすすめ
麺類に油揚げや卵などを追加するとエネルギー、タンパク質の摂取量が増えます。また、ヨーグルトに果物を入れるとビタミンを補うことができます。「ちょい足し」でまんべんなく栄養を取りましょう。

◎市のウェブサイトでは、食育情報や、栄養バランスが整った料理を手軽に作れるレシピなどを発信しています。
また、各保健推進室にも栄養士がいます。食生活の悩み事など、気軽に相談してください。

・食育・栄養
【URL】https://www.kuriharacity.jp/li/010/040/020/030/index.html

◎楽しく、おいしく、健康づくりに取り組んでいこうね!

■食べる 生きる つなぐ
食べること。それは、私たちが生きるために今も昔も変わらず続けてきた営みで、食を通じて命と歴史のバトンを脈々とつないできました。
現在では、さまざまな食材や、すぐに食べられる調理済みの食品が店で手軽に購入でき、食は便利で効率的なものへと変化しました。その一方で、食や食事に対する価値観も大きく変わり、手軽さを優先するあまり、栄養素が偏った食生活を続けてしまうことがあるかもしれません。
食生活を振り返ることは、いつまでも健康で暮らし続けるための未来図を作ることです。そしてその未来図は、私たちだけでなく、この先の時代を生きる子どもたちの食生活と命を支えることにもつながります。
自分や家族の健康な未来への第一歩は、今までの食生活を振り返り、食事に一品野菜を追加するなど、小さな積み重ねを行うことです。身近なことからコツコツと。栗原で育った新鮮で栄養豊富な農産物たちを、今日の料理に取り入れることから始めてみませんか。

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