■重症化を防ぐために
◇糖尿病性腎症の怖さ
糖尿病の合併症の一つである「糖尿病性腎症」は、重症化すると生涯にわたって人工透析が必要となる病気です。
人工透析は、機能が著しく低下した腎臓に代わり、機械で体内の老廃物を取り除く治療法です。一般的な血液透析の場合、1回につき4〜5時間、週3日程度の透析を一生受け続ける必要があり、身体的にも時間的にも大きな負担がかかります。
糖尿病性腎症の発症や重症化を防ぐためには、年に1回の健診を欠かさず受け、血糖、血圧、腎機能のチェックをすることが重要です。もし、糖尿病と診断されたら、決して治療を中断せず、定期的な検査と腎臓を守るための生活改善に取り組む必要があります。
◇重症化予防事業
登米市国民健康保険の医療費分析の結果、一人当たりの医療費は増加傾向にあり、糖尿病および慢性腎臓病(透析含む)に係る医療費は非常に高額となっています。
重症化予防事業では、市の特定健康診査を受診し、糖尿病がある、または可能性があると診断された人に対して、医療機関での受診勧奨および保健指導を実施しています。
・医療機関未受信者への受診勧奨
(1)対象者に受診勧奨の文書を送付します
(2)受診が確認できない人のうち、重症化リスクの高い人には、保健師などが電話や訪問などをして受診を勧めます
◇特定保健指導、健康相談
病状の進行を防ぎ、将来にわたって健康で自分らしい生活を維持していくためには、健診を受けた後の行動が大切です。
市では重症化予防事業の他、特定保健指導、個別健康相談などを実施していますので、お住まいの総合支所市民課健康づくり係の保健師・栄養士にご相談ください。
ー元気とめ!健康づくり宣言ー
活かそう!健診結果を生活に
健診結果を生活習慣の振り返りに生かし、自分の健康を守りましょう
■市民病院の取り組み
◇常勤医による診療を開始
登米市民病院では、これまで常勤専門医の不在により、入院での治療が必要な血糖コントロール不良の糖尿病患者や著明な高血糖の症例は、他の医療機関に紹介せざるを得ませんでした。この課題を解決するため、2023年から糖尿病専門の常勤医を配置。糖尿病の診療が可能となりました。また、三大合併症の一つである糖尿病性腎症も、週1回、腎臓内科専門医の診察を受けられます。
◇糖尿病の診療体制
常勤専門医による診療を開始してから、糖尿病の初回指導や、他院で調整が困難な患者の外来治療をはじめ、病気への理解が乏しく自己管理ができていない人への治療調整や、病気への理解を深めるための教育入院も実施しています。
糖尿病治療の発展により、長年インスリン治療をしてきた人も、内服薬へ移行したり、注射回数を減らしたりできるようになってきました。また、肥満の是正や腎臓と心臓などを守るような薬剤を中心とした治療も多くなっています。
◇糖尿病教室を開催
市民病院では、糖尿病治療の一環として、「糖尿病教室」を開催しています。医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、運動療法士から、日常生活を通して糖尿病改善へのアプローチ方法などのアドバイスを受けることができます。
糖尿病は、十分な治療を怠ると恐ろしい合併症が現れる病気です。定期的に健診を受けることや、治療中の場合は中断せずに継続することが大切です。
糖尿病について少しでも不安なことがありましたら、ご相談ください。市民病院は、患者さん自身の積極的な治療と自己管理のサポートをしていきます。
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