今回は、ボイジャー1号、2号が達成した惑星探査の成果についてお話しします。
◆第6回 ボイジャーの成果
ボイジャー2号は木星、土星、そしてさらにその先の天王星、海王星の観測に成功しました。4つの惑星を近くで観測する「グランドツアー」を初めて実現した探査機です。
地球と太陽の距離が約1.5億km、木星まではその約6倍、土星までは約10倍、最後の探査目標の海王星までは約30倍の距離があります。我々の想像をはるかに超える長旅で、1977年の打ち上げから12年かけて、やっと海王星に到達しました。
では、その成果を見てみましょう。
ボイジャーは、パイオニアという探査機に次いで2番目に木星に近づいた探査機でした。ボイジャーは、木星にも細いリングがあることを発見しました。また、木星の大きな目玉のような「大赤斑」が反時計回りに回転していることが判明しました。また、木星の惑星「イオ」に火山活動があることを発見するなど、今までの常識を大きく超える進歩がありました。
次の訪問先の土星では、土星のリングを詳しく観測して、厚さが数10mほどしかないことが判明しました。最小10mから最大でも1kmだそうです。極薄ですね!大きさの割合でいえば、相撲の土俵に薄い模造紙を広げた、という感じです。また、土星の衛星タイタンで大きな発見がありました。タイタンは地球の1.5倍の大気圧という太陽系内の衛星では他にないほどの濃い大気を持っていて、しかもその成分はほとんどが窒素でした。太古の地球と同じような状況です。この条件なら地球外生物がいる可能性が大きいと考えている専門家も多いとか!
さらに先の天王星では、大気はほとんどない氷の惑星で、自転軸が90度傾いていました。海王星も氷の惑星で、周りより暗く見える暗斑があり、また、数本のリングがあることも発見されました。
こうして、新しい発見をたくさん残して、ボイジャーは今も旅を続けています。今のボイジャーからは、地球を見ても、青い小さな星としか見えないはずですが、それでも懐かしく見てくれているのでしょうか。
(JAXA宇宙センター 吉田誠)
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