■「尊朝法親王(そんちょうほっしんのう)書状写(唐墨(からすみ)到来の礼)」
本史料は、能書家として名高い尊朝法親王が戦国時代に都城島津家10代当主北郷時久に宛てた書状の写しです。本書状には、時久から贈られた中国製の墨である唐墨などの品々に対する礼が記されています。
当時の都城島津家は、島津本家の九州制覇に協力して動いていた時期で、時久も多くの合戦に参加していました。一方で、時久は尊朝法親王から書を学び、蹴鞠(けまり)や和歌の素養を身に付け、その道に通じた公家らから免状を授与されるなど、文化的活動も熱心に行っていました。この背景には、京都周辺の情報を得る目的があったと推察されます。また、これらの活動に唐墨などの交易品が重宝されたことや、時久がその入手ルートを確保していたことがうかがえることから、本史料は当時の都城島津家の動向を研究する上でも重要な史料といえます。
・尊朝法親王書状写
「殊(こと)に唐墨種々慥(しゅしゅたし)かに到来し候、懇意の儀謝し難く候」(原文漢文)とあり、北郷時久が贈った交易品の品々に対する礼が記されている。
※都城島津伝承館は、展示設備改修のため3月15日(金)まで臨時休館しています
問い合わせ:都城島津邸
【電話】23‒2116
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