本年度の町中学生カンボジア王国派遣事業の使節団9人(生徒6人、引率者3人)が、昨年12月17日~22日までの日程で、カンボジア王国シェムリアップ州を訪れ、日本と異なる生活文化に理解を深めました。
カンボジア派遣事業は、ふるさとの中学生に異文化体験を通して国際理解力を高めてもらおうと、道市出身で町名誉町民の泉英ひであき明さん(さいたま市在住)からの寄付を受け、平成18年度から継続して実施しています。
山本日本語学校の学生や、小中学校の子どもたちとの触れ合いや、現地に残る紛争の爪痕から、多くのことを学んだ団員たち。
ここでは生徒の感想文から、それぞれが「学んだこと」を紹介します。
●カンボジア王国
カンボジア王国は、ベトナムとタイ、ラオスに接する東南アジアの国。首都はプノンペンで、面積は日本の約半分。人口は約1,720万人(2022年)で国民の約9割がクメール人(カンボジア人)です。
アンコールワットなどの世界遺産で有名な同国は、13世紀までインドシナ半島の大半を支配しましたが、周辺国の攻撃で国力が衰退すると長い植民地時代を迎えます。1953年の独立後は、権力争いで内戦が繰り返され、90年代まで紛争が頻発しました。
現在、治安や経済の面では内戦からの復興が進む一方、地域格差が大きく、貧困が社会問題となっています。
◆魚住 宗汰(そうた)さん(入善中2年)
トンレサップ湖で見聞きした現地の経済格差、都心部の小学校でも日本よりインフラが整っていない様子から貧困を実感した。それでも現地の人たちは幸せそうに暮らしており、貧困=不幸とは言い切れないと感じた。この経験から、もっと世界情勢を学び、世界に貢献できる人になりたいと強く思った。
◆上嶋 友結(ゆい)さん(入善中2年)
山本日本語学校での年上の人たちとの交流は緊張したが、うまく発表できて良かった。昼食では生徒の皆さんと、日本に来たことがあるのか、日本に来たらどこに行きたいか、カンボジアの文化についてなど、たくさん話せた。この経験を来年参加する後輩たちに話して、派遣事業の魅力を伝えたい。
◆新酒 伊織(いおり)さん(入善中2年)
東南アジア最大の湖・トンレサップ湖で目にした、水上に高床式の建物が立ち並ぶ光景が印象的だった。ベトナム戦争の影響で国籍が無く、陸地で家を立てられないため、水上で生活している人が多いことを知り、日本の暮らしとの違い、カンボジアの厳しい現実を目の当たりにした。
◆田中 奏(かなで)さん(入善中2年)
中学校の訪問では、生徒みなさんで出迎えてくれたり、笑顔で話しかけてくれたりした。以前町にカンボジアの学生が来たとき、自分はここまで積極的に交流できていなかったな、と反省した。今後は恥ずかしがらずに積極的に行動することで、これから出会ういろいろな国の人と仲良くなりたい。
◆稲場 琴音(ことね)さん(入善西中2年)
現地の小中学校や高校、保育所を見学した。制服は既製品ではなく家族の手作りという決まりがあること、優秀な学生への学費免除を受けるために、日常的に長時間勉強をしている学生が多いことを知り驚いた。授業では、どの子も目を輝かせて、楽しそうに勉強しているのが印象的だった。
◆杉澤 惟名(ゆいな)さん(入善西中2年)
初めてみたサーカスは、時間を忘れて楽しめた。出演者は、内戦を経験した人たちが作った芸術学校の出身者。学校では、孤児や貧困層の子どもたちに教育を行い、雇用の機会を生んでいるそう。華々しく見える世界の裏で、地道に努力を重ねている話を聞き、さまざまな生き方について考えさせられた。
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