文字サイズ
自治体の皆さまへ

[特集]水キラキラ、町いきいき(1)

1/25

富山県入善町

「水」は生活に欠かせない大切なもの。黒部川の表流水は農業や発電に、地下水は生活用水や工業用水にと、町をうるおしてくれています。
ここでは、水の大切さを考える8月1~7日の「水の週間」に合わせ、黒部川の豊富な水が暮らしにもたらす恵みを紹介します。

◆町をうるおす「黒部川」
◇恵みの源泉、黒部川
入善町は、北アルプスの標高2924メートルの山である鷲羽岳を源に、立山連峰と後立山連峰の間を流れる「黒部川」が形成した「黒部川扇状地」の中央に位置しています。
国内屈指の急流河川である黒部川は、かつてはたびたび洪水や氾濫を起こし、人々を苦しめる暴れ川でした。
その苦難を、先人たちは命がけの治山・治水事業を通して克服。そのおかげで、黒部川は豊かな恵みをもたらす源泉に姿を変え、今も町をうるおし続けてくれています。

◇地下水の恵み
現在の黒部川扇状地は、黒部川の激流で山肌から削られた土砂が積み重なり、約6千年~1万2千年前に形成。扇の角度約60度、扇頂から海岸まで約13・5kmと日本屈指の大きさと美しさを誇ります。
扇状地は、水を通しやすく、不純物を吸着・ろ過する効果のある花崗岩質の砂礫層が積み重なってできているため、黒部川の水は常に地下に浸透し続けています。扇状地の中にしみこみ、磨かれた地下水は汲み上げられ、飲食、洗濯、トイレ、融雪装置など、生活の水として活用されます。また、豊富な水量や水質の良さを評価され、工業用水としてもふんだんに活用されるなど、暮らしや産業を幅広く支えてくれています。
それでも使いきれなかった地下水は、湧水として海岸で自噴。この「黒部川扇状地湧水群」は、昭和60年には「全国名水百選」に選ばれています。
町の湧水の代表、「高瀬湧水の庭」の湧き水は、冷たく、ミネラルや炭酸ガスが適度に含まれており、おいしい水として町内外で愛されています。

◇表流水の恵み
黒部川扇状地の開拓は、江戸時代初期から開始。古黒部地域では、寛永14年(1637年)に墓ノ木からの黒部川の分流がせき止められたことで、入植・開墾が始まりました。
幾筋にも分かれていた黒部川の流れは、明治時代には治水工事の成果で1本に安定しました。大正時代中ごろには、黒部川の急流を活用した水力発電事業が盛んになる中、昭和5年には町の用水路の要である「黒東合口用水」が完成。黒部川からの潤沢な農業用水の確保が実現しました。
しかし、表流水は農業用には急流で冷たく、扇状地の地質は水はけがよすぎて、稲作では不作が続きました。
その対策として昭和26年から行われたのが、鉄分を含んだ粘土を川を通して田に流し込む「流水客土事業」。その効果で水田の水温は栽培に適した温度に上昇。昭和37年からの圃場整備で水田の形が整備され、農業機械が使いやすくなったこともあり、町は有数の米の産地となりました。
また、チューリップや入善ジャンボ西瓜も、水はけのよい土と豊富な表流水で育まれる、町を代表する作物です。
黒部川の豊かな表流水は、美しい大地を形作り、エネルギーを生み出し、多くの作物を育み続ける「命の水」です。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU