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続・ひみ未来遺産「第31回 稲積川口遺跡出土の馬鍬(まぐわ)」

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富山県氷見市

◆〜受け継がれてきた馬鍬のかたち〜
11月10日(日)まで開催している氷見市立博物館特別展「氷見と樹の文化史」展示資料の目玉のひとつが氷見市稲積の稲積川口遺跡で出土した古墳時代末頃の馬鍬です。
馬鍬とは、水を張った水田の中を牛馬に引かせて土を砕く、代掻き作業に用いられる牛馬耕用の農具です。角材の台木に取り付けられた多数の歯が特徴で、馬鍬の生まれ故郷である中国の長江流域では水牛に引かせて代掻きをしていました。
馬鍬が日本へ伝来したのは古墳時代前期、4世紀代後半です。元々馬がいなかった日本に、大陸から騎馬の風習と共に馬がもたらされたのも同じ時代のことでした。ちなみに牛が日本に来るのはその100年以上後。日本には水牛も牛もいなかったため、馬に引かせるようになって、馬鍬の名前が付けられたとも考えられています。6世紀末頃のものと推測される稲積川口遺跡の馬鍬は、西日本から広がった馬鍬が、日本海沿岸地域でも受け入れられていったことを示す貴重な資料です。
この馬鍬、氷見では「マンガ」などと呼ばれ昭和30年代頃まで現役の農具でした。古墳時代には台木も歯もすべてが木製だった馬鍬も奈良時代には歯が鉄製に替わります。しかしながら、台木に多数の歯が取り付けられた基本的な形状はほとんど変化せず、近年まで使い続けられたのです。
その故郷である中国から、時代も地域も越えて受け継がれてきた馬鍬のかたちでしたが、昭和40年代以降の農作業の機械化によってその役目を終えました。
(博物館主査 廣瀬 直樹)

問合せ:博物館
【電話】74-8231

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