◆〜能登半島地震に伴う文化財レスキュー(1)〜
今年度の「続・ひみ未来遺産」では、能登半島地震に伴う氷見市の文化財レスキューの取り組みについて、折に触れて紹介したいと思います。
令和6年1月1日の能登半島地震の発生に伴い、博物館では、まず市内に所在する国・県・市の指定と国登録の文化財および博物館所蔵資料の被害状況を確認しました。市内各地の家屋や道路などの被害状況に比べて、文化財の被害はそれほど多くありませんでした。とはいえ、国登録文化財の建造物が被災したほか、市指定名勝「布勢の円まる山やま」に所在する県内最古の万葉集関連石碑が倒壊し、埋蔵文化財包蔵地「大浦城跡」が一部崩落するなど、地震は市内の文化財に大きな爪痕を残しました。博物館でも土器や陶磁器の一部が割れ、文化財センター(旧女良小学校)では旧体育館の鉄筋の筋交いが破断するといった被害が確認されました。これらについては、少しずつ復旧していかなければなりませんが、その一方で急務となったのが、市内の文化財を守るための文化財レスキューです。
文化財レスキューとは、被災し、著しい劣化が危惧される文化財を安全な場所に移し、必要であれば応急処置などを実施する作業です。こうした取り組みは、平成23年の東日本大震災以来、全国規模で周知が進みました。対象となる文化財は、地域で大切に守り伝えるべき有形文化財(美術工芸品、古文書、古写真、考古資料など)と有形民俗文化財(生活用具、農具、漁具、信仰用具、職人の道具など)を指し、指定文化財はもちろん、指定を受けていない文化財も含みます。過去の災害では、これら文化財を保全し、廃棄や散逸の被害から防ぐ文化財レスキューが各地で行われてきました。
地震発生の直後から、博物館では市民の皆さんから寄せられた情報を基に、解体が迫る土蔵などで文化財レスキューを実施し、資料を受け入れてきました。その中にはこれまで存在が知られていなかった貴重な資料も含まれています。氷見の歴史を未来に残すため、今後とも情報をお待ちしています。
(博物館主査 廣瀬 直樹)
問合せ:博物館
【電話】74-8231
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