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続・ひみ未来遺産「第26回 文化財レスキューの対象とは」

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富山県氷見市

◆〜能登半島地震に伴う文化財レスキュー(2)〜
当館は令和6年3月末までに37件の文化財レスキューの相談をいただき、報道でもその活動を度々取り上げられてきました。今回は、そうした中であまり取り上げられてこなかった美術品のレスキュー活動について紹介します。
美術館が行う仕事のように思われる人もいるかもしれませんが、現在当館が実施している文化財レスキューでは、氷見市にゆかりのある美術品の保存・保管も対象としています。この活動の中で、新たに所在を把握でき、寄贈いただいたのが竹内栖鳳(たけうちせいほう)や石崎光瑤(いしざきこうよう)にも師事した、氷見市出身の日本画家である冬木清(ふゆききよし)の「雪上金閣」という作品です。
これまで同じ冬の金閣寺を題材とした「金閣雪景」という作品の所在は当館でも把握していました。しかし、今回の「雪上金閣」は、1969年(清が66歳)に描かれた「金閣雪景」より以前の作品で、清が40代後半から50代前半の頃、京都市北区大将軍に居を構えていた1950年代前半の作品と推定できました。15年以上の時を経て同じ雪中の金閣寺が描かれおり、この2枚を見比べることで作風の変化を感じることができます。
氷見市では令和6年3月30日から、令和6年能登半島地震で大きな被害を受けた建物の公費解体が始まり、復興に向けての歩みを進めています。今後地震被害にあった家や蔵が解体されていく過程で、氷見市ゆかりの作品で廃棄されるものや、蔵の解体に伴い、これまでより条件の悪い場所で保管せざるを得なくなるものが多く出てくると想定されます。
当館では、文化財レスキューとして市民の皆さまからの文化財に関する情報提供や、今後の保管方法などの相談を受け付けています。それにとどまらず、把握している市ゆかりの作家の作品の所在や現況の確認を進めていく時期に来ていると考えています。
(博物館 主任学芸員 小境 遼太)

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