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砺波総合病院
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■大腸がん
外科
部長 吉田 貢一
▼日本の大腸がん
近年の日本において大腸がんの患者さんが非常に増えていることはご存じでしょうか?
胃がんや肝がんの死者数は堅調に減少しているのに対して、大腸がんの死者数は増加し続けています。その一方で、大腸がんの治療は著しく進歩しており、他のがんよりもステージ別の生存率は良好で、治りやすいがんとも言われています。治りやすいがんなのに、なぜ大腸がんの死者数は減らないのでしょうか?
原因の一つとして大腸がん検診の受診率の低さが挙げられます。日本の大腸がん検診の受診率は約20%と非常に低いです。因みにアメリカの受診率は約70%です。更に、大腸がん検診で陽性、つまり精密検査が必要と判定されても、約40%の方は精密検査を受けていないという実態もあります。
▼無症状での発見が大腸がん克服の決め手
大腸がんの困った特徴は、症状が出にくいことです。無症状のうちに大腸がんを治療できれば克服できる可能性がぐっと高まります。無症状で発見するためには大腸がん検診がとても有効です。大腸がん検診は、キットを用いて2日分の便を採取するだけです。簡単に採取ができて、手を汚すこともありません。この便検査で陽性となった方に精密検査として大腸内視鏡、いわゆる大腸カメラを行うことになります。
大腸内視鏡が怖い、恥ずかしいという声を時々耳にします。大腸内視鏡は機器や手技の進歩で以前より格段に楽になっています。また、検査の際は下半身を隠す、特殊なパンツを使用して恥ずかしくないよう配慮しています。どうしても内視鏡が苦手という方に、当院ではCTのVR技術を用いた仮想内視鏡で対応することも可能です。
▼大腸がんの治療
大腸がんの治療の柱となるのは手術です。最近の大腸がん手術は手術支援ロボットを使用するなど非常に進歩しており、手術創も以前と比べ格段に小さく、痛みも軽くなってきています。当院は呉西地区で最も早く手術支援ロボットを導入しており、大腸がんロボット手術においても北陸地方でのパイオニアと自負しております。
また、一定の条件が必要ですが、直腸がんでは手術をせずに直す治療(非手術療法)もあります。当院ではこの直腸がんに対する、非手術療法にも積極的に取り組んでいます。
▼最後に市民の皆さまへお願い
大腸がんは比較的治りやすいがんです。それにもかかわらず、治らない状態になるまで放置されて発見されることは残念でなりません。是非、毎年検診を受けていただき、気になる症状のある方は当院を受診していただきたいと思います。
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