■デジタルの力でさまざまな地域課題を解決し人中心の持続可能で便利な社会を実現する!
▽松永 州央さん
下関市スマートシティ推進協議会アーキテクト
株式会社フォー・クオリア 代表取締役
山口県宇部市出身
いま、私たちは、「豊かさ」の代償として、人口減少による地域経済の縮小、少子高齢化とそれに伴う労働力の不足、医療・介護需要の質的変化、激甚化する自然災害への備え、都市化・観光地化による渋滞問題、多様化する生活様式への対応など、さまざまな地域課題を抱えています。豊かさを我慢することなく、これらの地域課題を解決するために「行政」「医療・健康」「教育」「産業」「観光」などのさまざまな分野で収集されたデータを分析し、都市運営の最適化や新たなサービスやビジネスを創出して地域幸福度(Well-being)の向上を図っていく街、これがスマートシティです。
令和3年度に、行政や民間事業者が持つ各種データやサービスをつなぐデータ連携基盤と、それらサービスを市民の皆さんに提供する窓口となる「しもまちプラス」を構築しました。これにより、異なる複数のシステムやサービス間で蓄積された異なる形式のデータを効率的に収集・変換・管理してやり取りを行うための仕組みが整いました。
今後、さらにいろいろなサービスを実装し、地域幸福度を向上させていきます。また、地域幸福度(Well-Being)指標を測定し、必要な分野やサービスの内容などを改善していきます。
しもまちプラス
URL:https://shimomachi-plus.jp/
しもまちプラス使い方
URL:https://youtu.be/eX3K8i69q1k
□01 教育
小・中学校、高等学校では、児童・生徒一人ひとりにタブレット端末が配備されています。鉛筆やノートと同じように学習の道具として使用する目的はもちろん、子どもたちの学習の習熟度をデータとして見える化し、授業の進め方や個別指導、本人の予習・復習に役立てることができます。学習のつまずきを早期に発見し、一人ひとりに合った学習支援などを行っています。
また、今後の取り組みとして、子どもたちの健康状態や心の状態をデータ化し、抱えているトラブルの解決に向けた具体的な働き掛けや学校不適応の早期発見などに役立てることを予定しており、現在、一部の小・中学校で実証に取り組んでいます。
▽豊浦小学校
西田 智行教務主任
これまでも児童一人ひとりに目を行き届かせ、授業の理解度や健康状態などの把握をしてきましたが、それらの情報の集約に時間がかかることが課題でした。デジタルの力で、瞬時にデータをつかむことができると同時に、教員間ですぐに共有できるため、教員の負担軽減が図られ、授業改善等、本来業務に注力できるようになりました。また、個別最適な学びが可能になり、学校教育は、「教える」から「学ぶ力を育む」に変わってきています。
□02 交通(しもまちBABYタクシー)
デジタル技術を活用し、移動手段と目的地の店舗などを連携させ、スマホなどでの一体的な検索や支払いを可能とすることで、便利で持続的な交通サービスをつくっていくことを目指しています。
まずは、デジタルに慣れ親しんでいる子育て世代をターゲットとしたサービスとして、令和5年度から子育て支援タクシーアプリ「しもまちBABYタクシー(愛称「ベビタク」)」を実施しています。母子手帳を交付された妊産婦が対象で、アプリの登録をすると、スマホなどから簡単にタクシーの手配ができ、自宅と病院をスムーズに移動できます。
▽小月タクシー
植田 秋彦さん
お客様が妊婦さんということで、助産師による専門研修を受けた認定ドライバーが対応し、運転には細心の注意を払っています。事前登録することで、AIがスムーズに配車し、情報端末に経路等が表示されますので道案内などは不要です。24時間365日対応しますので安心してください。タクシーには、バスタオルや防水シートなども常備しています。
□03 母子保健(母子手帳アプリ「ふくふく母子モ」)
令和5年度から妊娠・出産・子育てまでを切れ目なくサポートする母子手帳アプリ「ふくふく母子モ」を提供しています。スマホなどで、妊産婦と子どもの健康データの記録・管理や予防接種のスケジュール管理、育児情報の入手などができます。
母子モ
URL:https://mchhjpwww.page.link/XpLi
▽渡部 千春さん・穂高ちゃん
妊娠期にパンフレットをもらっていたので、出産直後にアプリをダウンロードしました。育児学級の予約や市からのお知らせの確認がスマホでできるのがいいですね。予防接種のスケジュール管理や定期健診の結果がグラフで確認できるようなので、これから活用していきたいと思っています。
スマホは、いつも手元にあるので、育児の記録がとても便利です。スマホで写真を撮って、日記をつけて、我が子の日々の成長を記録しておきたいと思います。
□04 病児保育(あずかるこちゃん)
子どもが病気のときに、保護者が仕事や冠婚葬祭等の理由で、家庭で保育ができない場合に、一時的に預かる病児保育。このサービスの予約等をスマホなどから受け付けすることができます。
電話で問い合わせなければ分からなかった施設の空き状況がスマホで確認でき、そのままスマホから予約申し込みができるなど、緊急時にスムーズな手続きが可能です。24時間受け付けが可能で、保護者は時間を気にせず子どもの情報を伝えることができます。
子どもが病気のとき、病児保育という選択肢があることで、子どもは最適な保育看護を受けられ、保護者は安心して仕事に集中でき、企業は生産性を向上させることができます。
施設のスタッフも煩雑な手続き作業から解放され、保育とケアに集中できるというメリットがあります。
□05 産業(スマート農業、スマート水産業)
農業では、センサーを活用した生産管理やドローンによる農薬散布などの取り組みを通じて、農作物の品質向上や労働時間の短縮、農作業の負担軽減、栽培技術の早期習得などを実現しています。
水産業では、魚種や漁獲量、漁船の運航状況、水産物の需要動向など、さまざまな情報を漁業者と市場とがリアルタイムで共有できるアプリを開発等することにより、操業など業務の効率化や水産資源の保護といった効果が見込まれています。
▽地域おこし協力隊
六車 浩二さん
地域おこし協力隊として昨年、下関に赴任しました。エンジニアとしての経験を生かし、農業従事者の作業負担軽減につながるシステムや農機具の開発を行っています。赤外線カメラと水鉄砲で鹿などを寄せ付けないようにする仕組みや収穫物を搬送するロボットなどを作りました。超音波で水面までの距離を計測して水田の水位の管理をする仕組みや水田に入らなくても除草ができるロボットの開発などを任期中に実装したいと思っています。
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