■令和5年下関市表彰 福岡國博さん
下関の児童館には、木のおもちゃがたくさんあります。
おかげで子どもたちはみ~んなニコニコ笑顔。
なんとこのおもちゃ、一つ一つ手作りなのです。
●おもちゃから生まれるたくさんの笑顔
◇修理品はないですか?
児童館に現れた、穏やかな表情のおじいちゃん。子どもたちが遊んで壊れてしまったおもちゃがないか、尋ねているようです。おもちゃの修理屋さんでしょうか?
児童館にある、たくさんの木のおもちゃ。市が用意した物もありますが、それだけではありません。今から5年前、ある人が、手作りのおもちゃの寄贈を始めたのです。
おもちゃを作っているのは、自営で住宅設備の仕事をしている福岡國博さん。子どもの頃から手先が器用で、工作が好きだったそうです。
福岡さんが初めて訪ねてきた時のことを、児童館「ひこまる」の職員は、こう振り返ります。「手作りの作品を持った方が突然来られたんです。ありがたく頂くと、次の週も、その次の週も持って来てくださって。壊れたら修理もしてくださいますし、とても助かっています」
◇感謝の気持ちを形に
福岡さんが木のおもちゃを作るようになったきっかけ。それは、40年間勤めた消防団引退を機に、お世話になった方へ、作品を作って贈ろうと考えたことでした。
題材は、火消しのシンボルである纏。「消防団の大会で東京に行った時に、浅草の商店街で売られていたのを見て、ひらめきました」と、福岡さん。
材料に選んだのは、余った水道管の部品。木の部分は、知人からもらった廃材を使いました。
それから、太鼓の置き物を作って「平家踊りを受け継ぐ子の会」が活動する本村小学校に寄贈。校長室で置き物を見た来校者たちが、話に花を咲かせたそうです。
そして、その当時の校長が退職後、児童館勤務となったのをきっかけに、福岡さんは児童館に作品を寄贈することを思い付きます。「子どもにあげるなら置き物よりも乗り物、遊べるおもちゃがいいな」
◇アイデアは意外にも
たくさんの作品を生み出す豊富なアイデアは、一体どこから来るのでしょうか?
「実はインターネットです。いろんな作品を見て、参考にさせてもらっています」
暇を見つけてはパソコンに向かい想像を巡らせるという福岡さん。
「自分が作った物で喜んでくれるとうれしいですね。他人であっても、子どもはかわいいものです」
福岡さんが作った、たくさんのおもちゃ。そこからあふれるのは、もっとたくさんの子どもたちの笑顔。
今では3つの児童館に寄贈するようになり、1つのおもちゃを3つずつ作るのだとか。
「おかげで3倍忙しくなりましたよ」と、福岡さんはうれしそうに笑います。
(写真)初めて児童館に寄贈した作品。子どもたちが遊べるようにと、作品は置き物からおもちゃへ。
(写真)寄贈したおもちゃは300個を超えました。
(写真)子どもたちに大人気の福岡さんのおもちゃ。遊んで壊しちゃっても、大丈夫。
(写真)自宅の裏にある福岡さんの工房。設計図は福岡さんの頭の中。
※写真は本紙をご覧ください
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