■山口県立下関西高等学校 科学部
VEXロボティクス・コンペティション(VRC)
ジャパンカップ2024に出場。
初出場ながら、5位と大健闘。
■ロボット製作に正解はない
▽課題解決力と創造性
スーパーや大手アパレルメーカーの会計はセルフレジだったり、家庭の中では掃除をロボットがしてくれたり。今や生活の中でAIやロボットに全く触れないことの方が難しくなりつつあります。
科学技術の進歩によるものですが、人口減少と少子高齢化が進む社会において、活力を失うことなく、豊かな生活を送っていくために、減ってしまう労働力人口をAIやロボットで補っていく必要があるからでしょう。
山口県立下関西高等学校は、文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されています。SSHは、将来、国際的に活躍し得る科学技術人材の育成を目指す高校等で、下関西高校では教科等横断的な学び(STEAM教育 ※1)や地域・社会等と連携・協働した課題解決型学習に取り組んでいます。そんな下関西高校の科学部のロボット班5人が、3月25日に東京都で開催されたVRC(※2)ジャパンカップに出場しました。
(写真)VRCに出場した5人。
左から、山岡幌さん(2年生)、伊藤正幸さん(2年生)、岡崎巧さん(3年生)、末永陽聖さん(2年生)、篠田寛吉さん(2年生)
※写真は本紙参照
▽すべてが試行錯誤
1辺が12フィート(約3メートル66センチ)の正方形のフィールド上で、自作のロボットを使って競い合う。年度ごとに異なるテーマが設定され、その攻略に合わせてロボットを設計・製作します。今回は、三角すいの形をしたボールをゴールに入れた数などで競い合うというルール。コントローラーを使ってロボットを操縦する時間帯とプログラミングをしてロボットを自走させる時間帯の2つの方法で行われました。
インターナショナルスクールや中国からのチーム、ロボコン世界大会に出場した実績があるチームなど、全9チームが参加する中、競技は2チームでペアを作り、すべてのチームとの組み合わせで、総当たりのリーグ戦形式での対戦です。ペアを組んだチームと作戦を立てる必要があり、国際色豊かな大会であるため、会話はすべて英語。初出場である上に、英語でのコミュニケーションを求められる過酷な状況でしたが、西高科学部チームは、4勝3敗で9チーム中5位と健闘しました。
チーム唯一の3年生・岡崎巧さんは、「ロボット作りに正解はないので、試行錯誤の連続でした。今回、多くのロボットを実際に見られたことは大きい」と大会を経験した意義を話してくれました。
▽目標が明確に
「他チームからインスピレーションを得られたことは収穫。ペアとなるチームと戦略を立てることが不可欠で、言葉の壁を痛感した」と2年生の末永陽聖さんは、語学力向上にも意欲を見せます。
「次の目標は国内大会で勝ち上がって世界大会に出場すること」と2年生の伊藤正幸さん。
地元の高校生がロボットで世界を相手に活躍し、私たちの生活を豊かにしてくれる。そんな未来を想像すると、何だか、わくわくしませんか?
(※1)STEAM教育…科学(science)・技術(technology)・工学(engineering)・芸術(art)・数学(mathematics)の頭文字で、文系・理系の枠にとらわれず、各教科の学びを基盤として、さまざまな情報を活用・統合し、課題の発見・解決や社会的な価値の創造に結び付けていく資質・能力の育成を目指す教育方針。
(※2)VRC…VEXロボティクス・コンペティションの略。VEXは、世界60か国で使われているアメリカ発のロボット教材。
(写真)顧問の花手先生とディスカッション
科学部にはロボット班のほか、化学、地学、物理などの研究班がある。生徒の自主性が尊重されている。
(写真)ロボットのプログラミング
ロボットの頭脳となるプログラミング作業の様子。使用言語は「Python(パイソン)」。西高科学部チームのロボットは、攻守バランス型だ。
(写真)8輪のロボット駆動部
VRCには6輪で出場(左下丸写真)。他の出場チームのロボットのほとんどが8輪だったことにインスパイアされ、部品を自分たちで改造し、8輪に組み直した。
(写真)DNAの基本構造
「DNAの構造を分かりやすくするためにビーズで作ってみました。かわいいでしょ?」
※写真は本紙参照
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