■下関市立玄洋中学校 PTA
令和5年度の優良PTA文部科学大臣表彰受賞
大人とこども、地域と学校が
影響し合う、すてきな接点
いずれ大人になる
子どもたちへのバトン
▽PTAに求められるもの
多様性の時代。さまざまな価値観や個性が尊重される前向きな面がある一方で、自治会やPTAなどの既存組織の運営は、加入しない選択をする人が増えるなど、難しさを増しています。また、少子高齢化が進む中で、市内の多くの学校で小規模化が進み、児童・生徒数は、ピークだった昭和50年代後半から60年代初頭と比較すると、およそ3分の1にまで減少しています。学校の規模が縮小すると、教員集団も小さくなり、先生たちだけで学校の管理運営をしていくことが難しくなっています。PTAの存在は、子どもたちの学びの環境を良くしていく上で、その重要性を増す反面、社会の関係性が希薄になっている今、時代に合わせて、在り方や考え方を少しずつ変えていくことが求められているようです。
▽おやじの会
下関市立玄洋中学校PTAが、令和5年度に優良PTAとして文部科学大臣表彰を受けました。評価された主な実績の一つが、父親の職能発揮等を目的とした活動組織「おやじの会」の設置。以前のPTAといえば、母親の参加が中心だったものが、学校の環境整備など、力作業が求められる場面が多くなったことから、玄洋中学校では平成28年におやじの会を立ち上げました。
立ち上げたのは、前PTA会長の植田和公さん。「おやじの会に卒業はありません。子どもが卒業しても、地域の一員として多くのお父さん方が活動に参加してくれています」。自身もすでに子どもは卒業しており、現在、所属するOBは半数以上に。さまざまな職能を持つ方が在籍するに至り、得意分野を生かして、子どもたちの役に立つ。このやりがいがおやじの会の原動力になっているといいます。
▽関係性と好循環
「大人の活動を見てきた子どもたちが、自ら『手伝いたい』と申し出てくれたときは、何よりうれしかった」とPTA会長の久保晃さん。大人たちの後ろ姿を見てきた令和4年度の中学3年生の有志30人が自分たちもできることをしたい、と申し出たときのことを振り返ります。以降、生徒会との協働作業を行っており、令和4年度は下駄箱のペンキ塗り、令和5年度は、古くなってさびの出ていた階段の手すりのペンキ塗りを子どもたちと一緒に行いました。
その他にも、同校PTAは、家庭教育支援チーム「げんよう」が、先輩保護者の経験を伝える「子育てサロン」を開催するなど、様々な活動に精力的に取り組んでいます。
いま学校は、いろいろな人の支えがあって成り立っていると、和田宗久校長。「玄洋地域はいい人ばかり。地域と学校、大人と子どもの良い関係性ができつつあり、将来、地域に貢献する大人に成長するよう、子どもたちには良い種をまけていると思います」
(写真)表彰を受けて、教育長を表敬訪問した久保会長(右から2番目)、植田前会長(左から2番目)、和田校長(中央)
(写真)おやじの会による養生作業
階段の手すりにさびが出ていたので、生徒会との協働作業でペンキを塗ることに。父親たちが養生をし、下塗りまでの下準備をした。
(写真)階段手すりの仕上げ塗り
一生懸命にペンキを塗る子どもたち。
(写真)おやじの会の活動記録パネル
活動記録のパネルを見ながら活動内容を説明する久保会長(左)と植田前会長。
おやじの会には、さまざまな職能を持った方が在籍。活動記録のパネルを作ったのも、看板制作業を営むおやじの会のメンバーだ。
(写真)家庭教育支援チーム
彦島中学校と合同で行った座談会の様子。彦島地域の教育への関心の高さがうかがえる。
※写真は本紙参照
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