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ふるさと歴史アラカルト

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山口県岩国市

■移築された旧吉川(きっかわ)邸の建物

岩国ゆかりの歴史的な建物の中には、市外に移されて現存しているものもあります。今回はその中から、岩国市横山にかつてあった旧吉川邸の建物について紹介します。
旧吉川邸は、明治25(1892)年、旧岩国藩主吉川家の岩国における邸宅として建設されたものです。主な建物として、吉川家当主の家族が暮らす本館、吉川家に勤めた事務役人が住む御家職(ごかしょく)屋敷がありました。また旧邸宅内の建物として、御茶室(現在の吉香(きっこう)茶室)や厩門(うまやもん)、吉川家の先祖を祭る祖霊社(それいしゃ)、昭和6(1931)年に竣工した旧吉川家岩国事務所などが現在も残っています。
では、旧吉川邸にあった本館と御家職屋敷はどこにいったのでしょうか。昭和23年11月から翌年1月にかけての「興風時報(こうふうじほう)(※1)」の記事によると、岡山市が吉川家から本館と御家職屋敷を購入したことがわかります。
購入の背景には、岡山市は昭和24年4月から5月にかけて開催した岡山産業観光博覧会がありました。空襲により焼失した岡山後楽園(こうらくえん)の整備を進める中で、伝統的な和風建築の移築を検討していた岡山市と、当時本館などの処分を検討していた吉川家との思惑が一致する形で決まりました。また吉川家の先代当主は旧制第六高等学校(※2)を卒業し、岡山市と縁がありました。
本館と御家職屋敷は、昭和24年から解体輸送が行われ、昭和26年までに移築が完了しました。現在はそれぞれ鶴鳴館(かくめいかん)と鶴鳴館本館として岡山後楽園内に現存しています。
ところで、旧吉川邸の図面を確認すると、本館(移築後の鶴鳴館)には元々離れがあったことが分かります。この離れは、本館と御家職屋敷が岡山市により買収された時期に、琴浦町(ことうらちょう)(現在の岡山県倉敷市)に譲渡移築され、後に民間施設が購入し、現在は唐琴鶴鳴荘(からことかくめいそう)として現存しています。
岡山後楽園に行かれた際は、ぜひ旧吉川邸の往時の姿に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

※1…大正6(1917)年から昭和31(1956)年まで発行されていた岩国の新聞
※2…現在の岡山大学の前身校の一つ

▽岩国徴古館(いわくにちょうこかん)
昭和20年に旧岩国藩主吉川家によって建てられ、その後岩国市に移管された市立の博物館
住所:横山二丁目7-19
【電話】41-0452
休館日:月曜(祝日の場合はその翌日)

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