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身を守るためにクマを知ろう(1)

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山形県大蔵村

ツキノワグマの目撃件数が増加しています。山形県では市街地でクマによる人身被害が発生するおそれがあることから、10月18日から11月30日までの期間で、県内全域にクマ出没警戒を発令しました。下のグラフから分かるように、5~8月のクマの目撃件数は令和4年に比べ多い月で42%の増でしたが、9月に入って前年から78%の増と急激に増加しました。しかしテレビなどで用いられるこうした「目撃件数が昨年の何倍」という情報は即座に個体数の増加を顕著に表すものではなく、同じクマが何度も人の目に触れる場所を行き来している可能性も考えられます。山形県では「クマ目撃マップ」を公開しています。これら目撃件数や地図データから、私たちはクマの出没の頻度や傾向をある程度うかがい知り、出会わないために役立てることができるのです。
自分の身を守るために、クマの1年間の生活について少し知る必要があります。
広く知られているとおり11月から12月ごろクマは冬眠期に入りますが、6·7月に交尾したメスグマは受精卵を子宮内に留めたまま生活します。この受精卵が着床し妊娠するかは、冬眠期間中に行う出産や授乳に耐えられる十分な栄養を秋期のうちに体に蓄えることができるかどうかで決まります。このシーズンに十分な栄養が無ければメスグマは子を産むことが出来ないので必死にキノコや木の実などの食べ物を探します。
10·11月の栄養状態が良いと冬眠に入る頃には着床し、およそ2か月後には出産を迎えます。そこから更に越冬する穴の中で子グマに2·3か月の間授乳し、4·5月ごろには穴を出ます。5·6月に山菜やネマガリダケの採取を目的とした人とクマとの遭遇が多く報告されるのは、同じ山の食べ物を目的として山野を歩くためだと考えられています。オスグマは子グマを狙うため、気の立ったオスグマとの遭遇により人が巻き込まれ襲われてしまうこともあります。クマの性差に関係なく、この時期は特に注意が必要です。
クマの目撃件数の増加、人里での人身事故等の原因として、ブナの実などの凶作年が挙げられます。この予測は4月末から6月に県内のブナ林に設置した面積約1平方メートルの円形ネットに落ちた雄花の数から雌花の数を推定し豊凶について判定するものです。今年6月27日に山形県が発表した「令和5年度ブナ豊凶予測」によると、県内に設置されている調査所15か所のうち14か所で「凶作」の予測結果が出されました。沼の台にも調査地が設置されており、他の場所と同様に凶作が予測されていることから、村内での目撃件数増加の原因の一つとして考えられます。
クマは雑食性で、木の実や果樹などの植物、昆虫や動物の肉などを食べることが知られています。令和2年に発表された東京農工大学の研究では、クマの性別、年齢により好む食べ物が変化することが分かっています。秋にはどのクマもドングリなどの木の実に依存した食生活を送りますが、5歳以上のオスのクマは木の実が豊作の年でも昆虫や動物の肉などのより高カロリーな食べ物を好む傾向があることが分かりました。栄養価の高い人間の生ごみ、放棄された柿の木などの果樹はそうした食性を持つクマを誘引する原因となり得ます。ごみの撤去や樹木の管理をすることで、被害を未然に防止しましょう。

◇山形県ツキノワグマ目撃件数

令和4年と5年との目撃件数の推移。

■大蔵村鳥獣目撃マップ
【URL】https://www.vill.ohkura.yamagata.jp/soshikikarasagasu/sangyoshinkoka/1801.html
10/6(金)、産業振興課では、村内でのツキノワグマ、ニホンザル、イノシシ、ニホンジカ等の目撃情報を地図にまとめた「鳥獣目撃マップ」を村ホームページで公開をしました。ツキノワグマやニホンザルの色分けされたアイコンが目撃された場所の地図上に表示されるものです。スマートフォン、パソコン等で確認し農作物への被害対策や、人身被害の未然防止へ活用ください。
データを充実させ、被害防止に役立てるためには情報が必要です。野生動物を見かけたら産業振興課へお知らせください!

問合せ:産業振興課農地係
【電話】75-2105(内線233)

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