山形県立中央病院 脳神経外科 医師 菅井 努
■「脳のはなし」
皆さん、こんにちは。金山診療所で月1回診療しています菅井と申します。普段は山形県立中央病院の脳神経外科で脳腫瘍を中心に診療しています。今回は病気の話ではなく脳についてお話したいと思います。脳は人間として最も重要な臓器で頭蓋骨の中に大事に守られています。脳は大きく分けて大脳、小脳、脳幹部にわけられています。呼吸などの人が生きていくための機能を調整している脳幹部、手足の動きなど運動をスムーズに調整する働きの小脳と機能がそれぞれ違いますが、ヒトとして最も発達したのが大脳です。今回は特に大脳についてお話しします。大脳は左脳と右脳にわけられ更に前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉の4つにわけられています。右利きの大部分の人は左脳で会話をしており、右の脳は音楽や芸術など感受性に関与していると考えられています。計算は左脳が担当しています。また右手足の運動や感覚は左脳、左手足の運動感覚は右脳と体と反対の脳が担当しています。以前、脳は未知の臓器と考えられていましたが最近は脳についてかなりわかってきています。長い間、人間は脳のほんの一部しか使えていないと考えられていました。しかし最近の研究で人間は脳のかなりの部分を日常の生活で使っていることがわかっています。また、脳の神経細胞は140~200億個と言われ、生まれてから脳の細胞は増えることがなく年齢と共に減少していくと考えられていましたが、最近の研究では脳細胞を増やすことは可能で、規則正しい生活やバランスのとれた食事、十分な睡眠、友人や家族とのコミュニケーション、適度な運動などが脳の神経細胞を増やす効果があることが示されています。最近、認知症の原因となるアルツハイマー病の治療薬が承認されましたが非常に高価で日常の診療に普通に使用できるまでは時間がかかりそうです。脳を鍛え、認知症予防のためにも日常の生活の中で会話や趣味を楽しみ、散歩やダンスなどの有酸素運動を積極的に行いましょう。雪国の人はよく除雪で運動していると言いますが除雪は作業であって運動ではありません。雪の日は自宅内で歩く、階段の昇り降りをするなど工夫して運動を心がけてください。
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