町では、協働のまちづくりを推進するため、広聴事業として「地域づくり座談会」を開催しています。座談会では、町長をはじめ、副町長、教育長、担当課長が各地区に伺い、町民の皆さんと意見交換を行なっています。令和5年度は6月から12月にかけて開催され、計245名が参加しました。
そこで、各地区から出された意見や要望への町からの回答の一部を紹介します。
※紹介するご意見と回答は、紙面の都合により文章の要約や現状に合わせた語句の修正をしています
◆皆さんから寄せられた意見や要望
◆JR米坂線復旧
JR米坂線は通勤通学の足である。早期復旧に向けて強く働きかけをお願いしたい。計画の進展、または情報があれば教えてほしい。
JR米坂線は、地方の通勤通学や生活の足であるばかりでなく、山形県と新潟県、さらには日本全体の公共交通ネットワークを形成するうえでも重要な路線です。こうした考えは、沿線自治体も同じくするところであり、そのためにも一日も早い復旧を国やJRに要望しているところです。しかしながら、発災から1年が経過した今も復旧に向けた具体的スケジュールの公表まで至っておりません。この最大の障壁は、復旧に関する費用負担の大きさと、米坂線の収益率の低下にあり、この課題解決なくしてJRは復旧に踏み切れないとしています。この状況を踏まえ、国、新潟、山形両県、沿線自治体が集まり「JR米坂線復旧検討会議」が開催されたところです。この会議の中で約86億円の復旧費用について、鉄道軌道整備法に基づく負担割合試算や、事業構造の変更を伴う(例えば上下分離方式に変更となった)場合の復旧費用の負担割合試算などが初めて説明されました。
この席上において町は、一日も早い全線復旧と、その中でも比較的被災程度の軽微な今泉〜羽前椿駅間の復旧に早急に取り組まれ、米沢〜羽前椿駅間は鉄道による運行の再開を求めたところです。しかしながら運行システムの管理管轄が東北本部と新潟支社に分かれているなどの理由から困難であるとの回答でした。
今後、沿線活性化を含む復旧に向けた話し合いが継続される予定です。
◆災害復旧
昨年の水害で林道に大きな被害が出ている。林道に山からの泥や落石などが山積しており、通行時に大変危険な思いをしているため、早期に林道整備の対応をしていただきたい。
林道については、山形県の協力を得ながら被災状況の確認を進めてきました。また、国の災害査定を受け、現在、国補助による復旧に向けた工事を進めているところです。町では農地災害復旧を優先しているところでありますが、林道についても早期の工事着手となるよう調整を進めてまいります。なお、生物多様性への配慮からも「いいで農村未来研究所」とも連携しながら進めてまいります。
◆空き家対策
本町も空き家が多くなっている。現状の空き家対策はどんなものか。また、新たな空き家を生まない対策を町ではどう考えているか。
現在の対応として空き家が発生した場合には、まず空き家の管理者の届出をしてもらいます。その際に、空き家バンク、解体補助金、維持管理の受託者などを紹介し、解体を含めた適正管理を行っていただくようお願いしています。ただ、以前からの空き家に関しては管理者があいまいな場合もあることから、相続などの情報を法務局から取り寄せ、管理者に該当する可能性のある方に連絡し、管理や解体などの対応をお願いしているところです。しかし、空き家の管理や解体にはお金がかかることですので、なかなか改善されない状況が続いています。家屋はあくまで個人の財産ですので、空き家発生の抑止に対し行政ができることは限られており、地区や親族の方々からの声がけや自らの意識として、極力空き家を作らないよう心掛けていただくことが必要であると思います。
また空き家バンクは、空き家を登録して町がその情報をホームページで公開し、家の住み替えや移住などで空き家を利用したい方に紹介する制度です。しかし、町内の空き家数に対して空き家バンクの登録数が少ないことが課題です。町としても空き家解体補助金を増額するなどの支援体制を整えてまいりたいと思います。
◆有害鳥獣対策
野生動物による被害が多発している。人的被害が発生する前に駆除などの対策をお願いしたい。
今年度はブナの実りが凶作であることもあり、人里での熊出没件数も例年より多く出ました。
本町の鳥獣被害防止対策としては、侵入防止策(電気柵)設置支援、捕獲活動支援、鳥獣を寄せ付けない環境づくりへの意識啓発などを組み合わせて進めております。また、県内外で熊による人身被害も出ていることから、長井警察署の協力を得ながら周囲のパトロールや猟友会による箱ワナの設置など対策を行っております。
野生鳥獣の生息域が拡大している現状を踏まえ、野生鳥獣が入り込むことのできない環境整備が重要です。野生動物と人との住み分けと里山の景観保全を図るため、道路沿線の刈り払いを引き続き進めてまいります。
頻出する場所の情報提供や取り残しの果実および生ゴミ除去にご協力いただき、住民の皆さまと連携しながら被害防止に向けた対策を強化していきたいと思います。
◆義務教育学校
飯豊義務教育学校について説明してほしい。
少子化が進む中で、町内小学校では児童数の減少や恒常的な複式学級が課題となっており、町では令和8年度から義務教育学校を開校することを決定しました。その移行に向け、昨年度は、現在の幼児施設・小学校・中学校の枠組みの中で可能な連携の在り方や学習・活動について研究を進めてきました。そして今年度は、「幼小中一貫教育のグランドデザイン」に基づき、幼・小・中学校12年間にわたって系統性のある教育を推進し、幼小中一貫教育の連携をさらに強化する取り組みを行っています。このように学校間の連携を強化したうえで、令和8年度から「施設分離型」義務教育学校への移行を進めています。当面は既存の3校(第一小・第二小・飯豊中)の校舎を活用し、施設分離型で1年生から9年生まで一貫した教育を行います。将来的には、現在の飯豊中学校の校舎を中核として、施設一体型で一貫した教育を行う計画です。
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