記録的な高温や豪雨などに形を変え、私たちの生活に深刻な影響を及ぼす地球温暖化。その影響や被害は、今後ますます大きくなっていくことが予測されています。今回の広報から、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素など温室効果ガスの排出を実質ゼロとする「脱炭素社会」の実現に向けた取り組みや、私たちにできることを紹介していきます。いま、改めて地域の未来について考え、できることから実践してみませんか。
◆脱炭素とは
私たちが普段使っている電気や自動車から排出される二酸化炭素の排出量と、植物などによる二酸化炭素の吸収量を差し引いて、「実質ゼロ」にすることです。それを実現するには、できる限り二酸化炭素の排出量を削減し、森やみどりの吸収量を確保することが重要です。温室効果ガスによって引き起こされる地球温暖化を止めるために、日本をはじめ全世界で「脱炭素社会」の実現を目指した取り組みが進められています。
◆地球の温度上昇
下のグラフは、1891年〜2022年の平均的な気温の変化を示したものです。産業革命が起こる前と比べ、2020年時点の世界の平均気温は、約1・1度上昇しています。このまま電気や化石燃料をたくさん使い続けると、大気中の二酸化炭素(温室効果ガス)は増え続け、2100年には最大5・7度上昇すると予測されています。
◇世界の平均気温偏差の経年変化(1891〜2022年)
細線:各年の平均気温の基準値からの偏差
太線:偏差の5年移動平均値
直線:長期変化傾向
基準:1991〜2020年の30年平均値
出典:気象庁HP
◆地球温暖化の影響
地球の気温の上昇は、氷河の融解を引き起こし、海面水位の上昇が世界的に観測されています。1880年以降、平均海面水位は23センチ以上上昇しており、そのうち約8センチは過去25年間に上昇したと言われています。現在も毎年0・32センチずつ上昇中です。日本でも平均気温の上昇、大雨、台風などによる被害、農作物や生態系への影響などが観測されており、毎年のように甚大な被害の報告がされています。
2022年8月3日未明から降り続いた雨と正午過ぎから発生した線状降水帯による滝のような雨は、町に甚大な被害をもたらしました。高峰地区のアメダス(気象観測システム)における24時間降水量は306・5ミリに達し、観測史上最大を記録しました。
◆飯豊町の温室効果ガス排出量・吸収量の比較
下図のとおり、町の二酸化炭素(温室効果ガス)排出量が8万8千849トンであるのに対し、森やみどりの吸収量は6万4千670トンと排出量の方が2万4千179トン多くなっています。町が脱炭素、ゼロカーボン(排出量=吸収量)を達成するためには、この差である2万4千179トンを0トンにする必要があります。そこでこれから排出量を減らし、吸収量を上げる施策の実現や、分野ごとに削減目標と具体的行動を定めて実行に移すことが求められます。
地球温暖化という喫緊の課題に対し、町も二酸化炭素(温室効果ガス)の排出量の削減に向け、さまざまな取り組みを計画しています。しかし、脱炭素社会の実現には、行政だけでなく、住民や町内事業者といった全ての主体の行動・協力が必要不可欠です。
町は、令和5年9月に飯豊町再生可能エネルギー導入計画を策定しました。次号から脱炭素に向けた取り組み内容について、詳しくお知らせしていきます。
問合せ先:役場住民課生活環境室
【電話】87-0514
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