■医療機器関連分野の成長力を山梨発展の推進力に
高い技術力を持つ県内の機械電子産業の企業に、医療機器関連分野への進出を促し、県内一帯に集積させる「メディカル・デバイス・コリドー構想」の実現を目指しています。
この先約20年成長を続けていくといわれている医療機器関連分野へ進出することで、企業は将来を見据えた設備投資や継続的な雇用が可能となります。しかし、医療機器の開発・製造には、法規制の壁や多額の投資、販売まで数年を要することなど、多くのハードルがあります。それに比べ、医療機器メーカー向けに部品や材料を製造する「部材供給」は、進出のハードルが比較的低く、県内企業の高い技術力を有効活用できることから、これを柱に進出促進を図っています。
医療機器関連分野への進出を支援する「メディカル・デバイス・コリドー推進センター」が県内企業の伴走支援や医療機器メーカーとのマッチングなどを行い、令和5年9月時点の進出企業数は平成30年度末に比べ2倍以上の157社、支援した企業の生産額の伸びは100億円以上と大きな成果が上がっています。
今後は、孫請けなどへの波及効果も期待できる完成品やユニット製品の製造受注への支援を強化し、メーカーの委託を受け半導体を製造する台湾積体電路製造(TSMC)に代表される生産専門企業(ファウンドリー)の医療機器版を山梨地域全体で目指していきます。
メディカル・デバイス・コリドー構想の実現で、雇用増加や賃金の上昇につなげていきます。
■新名称「サンシャインレッド」今年出荷スタート
令和4年にふるさと納税の返礼品として、一房の寄付額が10万円という高額にもかかわらず、わずか3日で完売し話題沸騰となった県オリジナルブドウ品種「甲斐ベリー7」が、昨年8月「サンシャインレッド」という名称で商標登録されました。
サンシャインレッドは県果樹試験場で10年以上の歳月をかけてつくられた県オリジナル品種です。シャインマスカットとサニードルチェを掛け合わせ、糖度は19度程度と非常に高く、華やかな香りがあります。皮の色はサニードルチェの美しい赤色を受け継いでおり、種がなく皮ごと食べられます。
本格的な流通は数年先を予定していますが、すでにテレビ番組で取り上げられるなど注目を集めています。新名称での出荷は今年から始まります。県民の皆さんもぜひご賞味ください。
県ではオリジナル品種の育成・普及などを通じて、これからも「やまなし」ブランドの確立・強化に取り組んでいきます。
■「農業」×「認知症予防」最先端の研究を山梨から
認知症は誰でもなり得るもの。ですが、もし、発症を遅らせることができるとしたら、人生100年時代を安心して暮らせると思いませんか?県では、認知症予防の分野で先進的な研究を行っている東京大学と連携して、本県の豊かな自然環境のフィールドを最大限活用した認知症予防の実証実験に取り組みます。
本県の高齢化率は31・3%と全国平均(29・1%)を超えています。団塊の世代が後期高齢者となる2025(令和7)年、そして高齢者数がピークを迎える2040(令和22)年を控え、認知症高齢者の一層の増加が見込まれています。
これまでの認知症対策は、自覚症状が現れてから行う対症療法が中心ですが、すでに重症化していたり、医療費の負担が大きくなったりするなど、さまざまな課題があります。そのため、これからは働き盛り世代が健康に向かって一歩踏み出す認知症予防を中心とした「アクティブケア」も併せて行い、認知症になりにくい、または認知症になる年齢を遅らせていくことが大切です。
近年、認知症は、ストレスや生活習慣病と深く関係していることが明らかになってきています。そこで、自然の中での農業体験など、ストレス軽減のための「地の利」がある本県において、東京大学などと連携し、農業や自然環境と認知症との関連などを探ります。
こうした実証実験を進めることで、「認知症になることが不安な人」も安心して生活できる社会の実現を目指していきます。
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