国内最大のスポーツの祭典である国民スポーツ大会(国スポ)・全国障害者スポーツ大会(全スポ)が、令和14年に山梨県で開催されることが承認されました。本県での開催は昭和61年の「かいじ国体」・「ふれあいのかいじ国体」以来46年ぶりです。
当時とは社会情勢が大きく異なる中で大会を運営していくための県の方針のほか、スポーツで地域を活性化する取り組みを紹介します。
◆スポーツだけじゃない?国スポ・全スポ開催の意義
「運動は苦手だし、スポーツの祭典なんて自分には関係ない」と思っているあなた。いえいえ、実は国スポ・全スポ開催の効果はスポーツの振興だけにとどまりません。県では令和14年の第86回国スポ・第31回全スポの招致を目指し、有識者から幅広く意見を聴くため「新しい国スポ・全スポあり方検討懇話会」を昨年2月に設置し、3回にわたり議論を重ねてきました。
懇話会では、国スポ・全スポの開催が未来を担う子どもに多くの夢や希望を与えるとともに、スポーツへの関心が高まって県民の健康増進につながるほか、パラスポーツへの理解が深まって共生社会の実現に近づくなど、さまざまな効果がもたらされることが分かりました。また、開催を機に来県される多くの人が、豊かな自然環境や観光資源など本県の魅力の数々を体感する絶好の機会にもなります。
期待に満ちた国スポ・全スポの開催。5月に懇話会から県に報告書が提出されると、県議会で決議が行われ、日本スポーツ協会及びスポーツ庁への開催要望書の提出を経た8月、ついに県内開催が承認されたのです。
◆国スポ・全スポの一体的な開催や自治体の負担軽減に向けて
昨年11月に準備委員会の設立総会が開かれ、国スポ・全スポの開催基本方針が決定されました。同方針では、懇話会の報告書を踏まえた実施目標として「スポーツのチカラを生かした県民の豊かさ創出」「次世代につながるスポーツ振興」「共生社会の実現」「持続可能な大会運営の実現」の4項目を挙げています。県ではこの目標のもと、県民が身近にスポーツを楽しめる環境を整え、心と体の健康増進を一層図るほか、スポーツを楽しむ場としての本県の魅力を国内外に発信し、来訪者の増加による地域経済の活性化に結び付け、豊かな県民生活の創出を目指します。また「生きる力」を身に付ける重要な要素であるスポーツへの子どもの関心を高め、スポーツを始めるきっかけや環境づくりを進めながら、国内外で活躍する選手を育成していきます。
これまで間隔を空けて開催されてきた国スポ・全スポを一体的に開催することも検討します。障害の有無にかかわらず選手をはじめ多くの方々が、大会開催期間中に大いに交流を深めるとともに、それぞれの個性を理解し、そして認め合う契機になることで、共生社会の実現に一層近づくことが期待できます。
さらに、開催自治体の多額の経費負担という大きな問題にも一石を投じます。将来に多大な負担を残さず次世代につなげるため、大会の大胆な簡素・効率化や新たな収入の確保に取り組むほか、民間施設も含めた既存施設を有効活用し、必要に応じて県外施設の利用も積極的に検討していきます。
開催に当たり課題はありますが、主催する県や市町村、競技団体など多様な主体が協働することで「集合知」を発揮し、後世に残る大会になったと評価されるよう進めていきます。
県ではこれからも、スポーツを通じた共生社会の実現と持続可能な大会運営に向け、従来の手法にとらわれず、さまざまな実証を行いながら、新たな時代にふさわしい大会モデルを構築することに積極果敢に挑戦していきます。
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