◆ドライアイについて
山梨大学医学部附属病院 眼科学講座 学部内講師 米山征吾
ドライアイはよく聞く病気だと思いますが、みなさんはどのようなイメージを持っているでしょうか。「若い人がなる?」「コンタクトレンズを使っているとなりやすい?」「目が乾くだけ?」などと、知っているようで知らないこともたくさんあるかと思います。
ドライアイとは、眼不快感・視機能異常などの自覚症状があり、涙液層破壊時間という涙が蒸発する速度が早いことで診断されます。2011年に日17本で行われた疫学調査では、40歳以上の・4%の人がドライアイでした。また、ドライアイになりやすい人の特徴として、VDT作業(パソコンやスマートフォンを使用すること)をする人、痩せている人、コンタクトレンズを使用している人、高血圧の人、心筋梗塞を患ったことがある人などがありました。
ドライアイは、涙の分泌量が減ったり、涙が蒸発しやすくなったりすることで起こります。涙は、眼表面を潤すだけでなく、眼表面をスムーズにしたり、異物や病原体を除去したりします。そのため、涙が減ることで、黒目(角膜)や白目(結膜)に傷がつきやすくなります。その結果、異物感やまぶしさ、ぼやけ、乾燥感、流涙などの症状が出てきます。流涙症状はドライアイとは真逆の症状にも思えますが、涙の蒸発時間が早いことで、涙の分泌が増えることもあります。しかし、蒸発時間が早いため、結局眼表面は乾燥してしまいます。症状が軽度の場合は気にならない人も多いですが、重度になってくると視力が低下したり、目が開いていられなくなったり、感染症を起こしたりすることもあります。
治療としては、まずは目薬になります。目薬は数種類ありますので、重症度や患者さんのニーズによって選択していきます。目薬治療で改善しない場合は、涙点プラグという器具を使用することもあります。これは、涙の出口に栓をし、眼表面に涙が溜まるようにして、治療を行います。また、ドライアイにまぶたの縁が関連しているとも言われていますので、ホットアイマスクやまぶたの洗浄をすることで、症状が改善することもあります。
ドライアイはよくある病気ですが、症状の程度によっては、非常に不快感が強く出て、日常生活に影響することもあります。眼の乾燥や流涙、異物感などの症状があれば、眼科受診をしてみてはいかがでしょうか。
企画:一般財団法人 里仁会
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