■北杜市の珍しいイチョウ
北杜市は205件の指定文化財を有しています。そのなかでも、天然記念物(樹木)は61件が指定されており、北杜市の自然の豊かさを象徴しています。今回は、北杜市の数ある市指定天然記念物の中から、秋に黄葉(こうよう)の見ごろを迎える3つのイチョウをご紹介します。
イチョウはイチョウ科イチョウ属の落葉高木樹です。秋に葉が美しく黄葉したのち、雌木(めぎ)は種子である銀杏を実らせます。社寺の境内や街路樹としてよく見かける身近なイチョウですが、生きた化石と呼ばれるほど古い樹種であり、2億年以上前から姿を変えていません。原産国は中国で、日本には室町時代以降に伝来したといわれています。
同じ樹種の指定文化財でも、希少性や規模、歴史などそれぞれ違った特徴があります。実際に足を運び、ご覧になってみてはいかがでしょうか。
◇遠照寺(おんしょうじ)のオハツキイチョウ
オハツキイチョウは全国的に珍しいイチョウの変種で、明治24年に学会で発表され、その存在が知られるようになりました。通常は実と葉が分かれて成長するのに対し、オハツキイチョウは葉の上に実が付くようにして成長します。須玉町穴平の「遠照寺のオハツキイチョウ」は、1枚の葉の上に2つの実がなることから、お葉つき双子イチョウとも呼ばれ、平成3年に天然記念物に指定されました。
◇町屋のオハツキイチョウ
大泉町谷戸にある「町屋のオハツキイチョウ」は樹高21・2m、幹周りが1・97mあり、貴重な変種であるとともに大泉町内で最大規模のイチョウであることから、平成6年に天然記念物に指定されました。文化財に指定されるほど大きなイチョウは社寺の境内に植えられていることが多いのに対し「町屋のオハツキイチョウ」は個人の土地にある点でも珍しいと言えます。
◇黒沢圓通院(えんづういん)跡のイチョウ武川町黒沢の「黒沢圓通院跡のイチョウ」は樹高13・9m、幹周り3・9m、推定樹齢400年を超える大樹であることから、平成元年に天然記念物に指定されました。昭和54年の台風により地上から3mのあたりで主幹が折れ、その後折れた箇所から枝が成長したため、樹幹よりも枝が長い特徴的な樹形になっています。イチョウがある場所にはかつて圓通院という寺がありましたが、明治10年に武川町山高の高龍寺に合併され廃寺となりました。
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