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ほくと歴史めぐり

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山梨県北杜市

◆武川町・垈場(ぬたば)遺跡 発掘調査速報

武川町柳沢で見つかった垈場遺跡では、県営ほ場整備工事に先立ち令和4〜6年度の予定で発掘調査を実施しています。これまでの調査で縄文時代中期、後期、晩期、平安時代の竪穴住居跡が90軒以上発見され、それとともに膨大な量の縄文土器や石器、土偶などが出土しています。令和5年度には、これら出土遺物の数々が県内外から注目を集め、昨年12月に開催した現地説明会への参加者は170名を超え、これまでにない盛り上がりを見せました。今回は出土遺物のうち、特に注目を集めている遺物を紹介します。

▽土偶(写真1)
今からおよそ5,000年前(縄文時代中期中葉)の住居跡から、ほぼ完全な形で出土しました。全長は約8cm、お腹が大きく出っ張り、〝しゃがんだ〞姿勢であることから、妊婦が座って出産している様子を表現していると考えられます。足の裏にいたるまで、非常に丁寧に磨かれた精巧なつくりであることに加え、全体の姿を確認することのできる全国的に見ても貴重な出土例です。

▽顔面把手(とって)付土器
土器の縁に人面の装飾が施されている土器を「顔面把手付土器」といいます。長野県、山梨県、東京都、神奈川県を中心に発見されていますが、その多くが意図的に壊されたようにバラバラな状態で出土しています。垈場遺跡においても、こうした土器に付いていたと考えられる顔面装飾が多く出土しています(写真2)。そうした中で、49号住居跡(今からおよそ5,000年前)では、壊されることなく完全な形の顔面把手付土器が出土し(写真3)、非常に珍しい事例として注目を集めています。
全ての顔に共通する目尻が少し吊り上がった表現は、長野県・諏訪湖周辺から山梨県にいたる地域の特徴です。細部にいたるまで丁寧に文様を施したつくりは、県内外の出土例と比較しても群を抜いており、こうした顔面装飾が1つの遺跡から複数個出土するのは珍しく、垈場遺跡を特徴付ける遺物の一つです。
令和6年度も引き続き発掘調査を実施しています。今後の調査成果も大いに期待されます。

※写真は本紙P.30をご覧下さい。

問合せ:学術課
【電話】42・1375
【FAX】25・2019

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