■在宅医の想う人生会議
在宅医療に関わる者として、患者さん本人に人生の最終段階のお話をすると、今後のことを全く考えたことのない人が半数以上いる印象です。また、患者さん本人とお話ができない状況になったとき、ご家族に話をすると、ほとんどの方はびっくりします。親が具合悪くなり、親の意思も聞けなくなったときに、多くの人はできるだけのことをしてほしいと言います。しかし、「ご自身が同じ立場ならどうしますか?」と伺うと、「私はそんなに色々なことはしてもらわなくていい。」とご家族は答えます。
このようなことが起こるので、治療の早い段階で2つのことを話しています。
1つは、これからの診療・治療をどこまで行うか、または行わないかということ。医師なので医療のことに特化して聞きますが、もう1つは、医療だけではなく、会いたい人や財産のことなどをエンディングノートなどにまとめておくこともお話しています。
◆人生会議をする上でのポイント
ご本人の意思を最大限尊重することを心がけましょう。そしてご本人がしたいこと、大事にしていることを話しましょう。
もし、ご本人の意思を確認できない場合は、何を望んでいるかを想像し、ご本人の意思を引きだすようにして考えてみてください。
◆市民の皆さんに向けて
年代を問わず自分の意思が伝わらない状況になること、亡くなるときは必ず訪れます。重いテーマではありますが、年に1回でもいいので家族で話をしていただきたいです。
笛吹市在宅医療・介護連携推進協議会 会長
一宮温泉病院 山田創吾医師
○担当保健師の思い
これからも自分らしく暮らしていくために、大切にしたいことはどんなことでしょうか。
「もしも」のときのことを考えることは、縁起でもないことと敬遠されがちです。しかし、「どんな最期を迎えたいかを考えること」は、言い換えれば「最期を迎えるまでをどう生きたいかを考えること」とも言えると思います。
「わたしの想い手帳」は、「もしも」のときのことを考えるきっかけとなるよう作成しました。年齢や性別を問わず、一人でも多くの方が、自分の大切にしていることが尊重され、自分らしく暮らしていくための一助になれば、と思っています。
11月30日(いい看取り・看取られ)は、「人生会議の日」です。これを機に、これからの人生をどう過ごすか、ご家族などの大切な人と話してみませんか?
■「人生会議」の第一歩!
自分の大切にしていることや望みを考え、書いてみましょう!!
(1)好きなことや好きなものなど、あなたの「好き」を書いてみましょう
(2)あなたが大切にしていることは何ですか?(いくつでも)
・家族や友人のそばにいること
・仕事や社会的な役割が続けられること
・身の回りのことが自分でできること
・できる限りの医療が受けられること
・家族の負担にならないこと
・痛みや苦しみがないこと
・少しでも長く生きること
・自分が経済的に困らないこと
・ひとりの時間が保てること
・家族が経済的に困らないこと
・好きなことができること
・その他
(3)「もしも」治らない病気や大きなけがをしたときに、治療に関する希望がありますか?
・一日でも長く生きられるような治療を受けたい
・とにかく病気を治すことを目指して、どんな治療でも受けたい
・長く生きられるような治療や病気を治すことを目指す治療より、痛みや苦しみを和らげるための十分な処置や治療を受けたい
・できるだけ自然な形で最期を迎えられるよう、必要最低限の治療のみ受けたい
・その他
(4)「もしも」病気などで、自分自身で自分のことを決められなくなったとき、あなたに代わって、自分のことの判断や話し合いをしてほしい人はどなたですか?(あなたが信頼できる人は誰ですか?)
・名前
・あなたとの関係
(5)将来、病状が進み、最期の時が近くなったとき、どこで過ごしたいですか?
・自宅
・病院
・施設
・その他
「わたしの想い手帳」より抜粋(笛吹市制作)
■家族や自分の信頼できる人と話し合うきっかけに、ご活用ください
○「わたしの想い手帳」と「エンディングノート」の配布
最期まで自分らしく生きるために、自分の思いや希望を書き記すための「わたしの想い手帳」と「エンディングノート」を無料で配布しています。
配布対象:笛吹市にお住いの方
配布場所:長寿支援課 地域包括担当
※「わたしの想い手帳」は、市ホームページからダウンロードできます。
○「人生会議」の学習会
ご希望の会場に保健師が出向いて、「『人生会議』の進め方」や「『エンディングノート』の書き方」をお話しします。ご希望の方はご連絡ください。
問合せ先:長寿支援課 地域包括担当
【電話】055-261-5065
<この記事についてアンケートにご協力ください。>