エコパークという言葉をご存じですか?もしかしたら龍岡町にあるごみ処理場を思い浮かべる方もいるかもしれませんね(笑)。
今回ご紹介するエコパークは、世界遺産で知られるユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の認定制度のひとつで正式名称は「生物圏保存地域」と言います。豊かな生態系や生物多様性を保全し、自然と人間社会の共生ができているモデル的な地域で、国内では10の地域が登録されており、山梨、長野、静岡にまたがる南アルプスは平成26年6月に登録されてから10周年の節目を迎えました。
■南アルプスの雄大な自然 高校生がパフォーマンスで表現
5月23日、東京エレクトロン韮崎文化ホールで、市内外から約230名のご来場のもと開催された10周年記念イベントでは、一般財団法人自然環境研究センター上級研究員の渡辺綱男さん(左写真 ※本紙参照)による「生物多様性をめぐる国内外の動きとユネスコエコパークへの期待」と題した講演のほか、地元高校生のパフォーマンスが披露されました。
このうち、オープニングを飾った韮崎工業高校太鼓部の皆さんによる太鼓の演奏では、南アルプスの雄大な景色を思わせる壮大で迫力のある太鼓の音が場内に響き渡りました。
また、韮崎高校書道部の皆さんの書道パフォーマンスで披露された作品には、韮崎の自然や風景を表現した「風光明媚(ふうこうめいび)」の文字と、中央に大きく書かれた「煌(きらめき)」の文字が背景に描かれた太陽の絵と融合し「人々を照らし、人生を豊かにしてほしい」という思いが込められているなど、両校の皆さんのパフォーマンスに会場も大いに盛り上がり、いずれも大きな拍手が贈られました。
高校生の皆さんありがとうございました。
(関連写真・表紙 ※本紙参照)
※エコパークの詳細は市ホームページにも掲載されていますので併せてご覧ください。
■市民の皆さんにこそ甘利山を知ってもらいたい!!
歳森宗一郎さん
・合同会社NIRAPS 代表
・元地域おこし協力隊
・甘利山倶楽部副理事
・東京都港区出身
令和3年度より甘利山グリーンロッジの管理を行うとともに、甘利山及び南アルプス周辺の環境整備に取り組む。
地域おこし協力隊として甘利山に携わり、韮崎は「素晴らしい山のまち」であることを実感していますね。だからこそ、甘利山は本市にとって唯一無二の観光資源であり、市民の方々に、こんな間近に南アルプスユネスコエコパークに触れることのできる環境があることが、どれほど幸せかを知っていただきたいという想いで活動を行っています。
また、甘利山グリーンロッジではチェックイン時に宿泊者へ甘利山の案内とともに、エコパークの緩衝地域に位置付けられていることも説明していますね。
市街から40分ほどで登ってくることができるため、普段と変わらない感覚で過ごされてしまう可能性があるからです。甘利山はレンゲツツジなど魅力にあふれ登山にも手頃な山ですが、それなりに危険も伴う山岳地域だということも併せて実感していただくようにしています。
これからも韮崎の山々の環境整備に頑張っていきますので、ぜひともお力添えをお願いします。
■市民の皆さんとともに実践 ―環境保全への取組み―
▽自然にふれあう機会を子どもたちに
NPО法人甘利山倶楽部が主体となって、市内の小中学生がふるさとの自然に触れる機会のサポートを積極的に行っています。初夏には甘利小3年生・韮崎東中1年生が校外学習として登山に訪れるほか、市内の高校生も甘利山の環境保全活動に協力をいただいています。
また、例年10月には「甘利山クリーン大作戦」を開催し、市民の皆さんの参加によるレンゲツツジ保護のための笹刈りボランティアも実施しています。
▽みんなで修復 苗敷山(なえしきさん)石鳥居の土台
旭町上條南割にある苗敷山は山岳信仰の地、また稲作の神として信仰をあつめていたとも伝えられる歴史文化の山です。山麓四地区の氏子総代会を中心に守られている穂見神社前宮から山頂付近の奥宮本殿(市指定文化財)まで登山道でたどることができ、その中腹には江戸時代に建立された石鳥居が現存しています。
近年この鳥居周辺の浸食が進んでいたため、昨年11月、地域の方々との協働による修復作業を行いました。専門家のアドバイスを受け、周囲の伐採木や石を利用した自然工法を用い、文化財保護と植生回復の両面の目的をもって実施しました。
▽守ろう!高山植物
地元山岳会白鳳会や山小屋事業者の皆さんと協力し、鳳凰三山の高山帯に複数箇所の防鹿柵設置を行っています。
今後も生物多様性の観点から、鹿の食害から南アルプスの希少な高山植物を守り次世代につなげる取り組みを続けていきます。
■南アルプスのエキスパート 白鳳会創立百周年
大正13年の創立以来、観光振興や山岳資源の保全活動などにご尽力をいただいている日本有数の山岳会「白鳳会」が本年百周年を迎えました。
特に、貴重な高山植物の保護活動や遭難事故の救助のほか、登山道整備、観光案内など多岐にわたる活動は高く評価されています。
百周年を迎えるにあたり記念事業として、昨年、鳳凰三山の地蔵ヶ岳へお地蔵様の奉納山行を行ったほか、本年5月には甘利山さわら池で記念植樹もしました。
■大切な資源や資産を未来に受け継ぐために…
本市には山岳資源だけでなく様々な資産があります。わに塚のサクラ、武田家ゆかりの史跡、綾棒踊りの伝統芸能なども、貴重で大切な資産です。これらの資産を次世代へ受け継ぎ、自然の恩恵を活かした魅力ある地域づくりに向け、引き続き、「チーム韮崎」で取り組んでいきましょう。
■ユネスコエコパーク登録10周年記念 ふるさと偉人資料館企画展
・南アルプスの山々とともに ~韮崎市ゆかりの人物たち~
自然と人間社会の共生というユネスコエコパークの視点をとおして、穂坂町出身の登山家平賀文男など南アルプスゆかりの方々を紹介しています。(入館無料)
場所:ニコリ1階 ふるさと偉人資料館
休館日:月曜日(祝日は開館)
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