■「一五一会可児市大会」開催記念インタビュー
BEGINとヤイリギターで作った可児市生まれの楽器“一五一会”。
比嘉栄昇さんと矢入賀光さんに一五一会について語ってもらいました。
Interview
BEGIN(ビギン) Vo. 比嘉 栄昇(ひがえいしょう)さん
Guest
(株)ヤイリギター 社長 矢入 賀光(やいりよしみつ)さん
▽一五一会の誕生エピソードや思いを聞かせてください。
比嘉:僕は石垣島で生まれ育ったこともあり、三線(さんしん)(沖縄の伝統的な弦楽器)が近くにある中でギターを弾いていました。ある時、田端義夫(たばたよしお)さんという、島唄を全国区にした大物歌手のために歌を作ることになりました。ギターで作ろうか、島唄っぽいものにしようか悩み、ギター持って三線持っての繰り返しを多分3カ月ぐらいしていました。良い歌を作りたいというプレッシャーも相まって、だんだんとおかしくなりました(笑)。悩んで追い詰められた時、「あ、ギターの弦を4本にして三線のチューニングにすればいいじゃないか」と思い付いたのが一五一会誕生の瞬間です。思い付いてすぐ、分かってもらえないかもしれないけど、何回も通って説明すれば分かってもらえると信じて、当時ヤイリギターの社長だった矢入一男さんを訪ねました。そうしたら、「分かった、若いもんでやってみいや」と言ってくれたんです。扉が開いた感じがものすごくしました。完成したときには社長が、「やっと『メイドインジャパン』として胸を張れる楽器ができた」と言ってくれました。この楽器を作るイメージもアイデアも全部含めて、日本で生まれたものなんだからこれは和楽器なんだというトキメキみたいなものが、僕も社長も共通していたと思います。
▽一五一会にはどのような特徴があり、どんな存在だと思いますか。
比嘉:一五一会とは一体何だろうと思ったときに、渋谷の忠犬ハチ公が去年生誕100周年というお祝いだったことを思い出しました。ハチ公は、秋田県大館市で生まれて渋谷に来て、亡くなった今は渋谷駅前の銅像となっています。現代ではそこが人々の待ち合わせの場所になり、海外から来た人が列をつくって写真を撮るような場所にもなっています。一五一会は、もしかしたらそれと同じような存在になるのではないかと最近思いました。一五一会は、まだ全国的に知られているわけではないですが、生まれ故郷が可児市ということが、可児市にとってこれから先の未来でとても大きなものになってほしいと思っています。一五一会の一番の特徴としては、初めての人でも30分あれば弾き語りができるということです。楽器に触れてから演奏できるまでの早さと喜びという面では、世界一優れた楽器だと思います。今はコンピュータやAIで音楽が作られる時代になり、生身の人間ではとても演奏できないような複雑な音楽で溢れています。それはそれで素晴らしいことですが、そこには足りないものがあります。上達する喜びや、みんなの前で弾いて歌うドキドキ感など自分だけの喜びを味わえないことです。だからこそ、今の僕の役割は、楽器を弾く喜びを知ってもらい、みんなと喜び合う音楽を守っていくことだと思っています。まさに一五一会はそれができる楽器です。そんな一五一会のふるさとの可児市で、一五一会を通して家族や地域の人たちの交流が生まれてくれたらうれしいですし、そういった機会を皆さんにつくってもらえたらなと思います。そんなことが続けば、きっと渋谷のハチ公のように、世界中から一五一会のふるさとである可児市を訪れてくれるような、そんな未来が見えるような気がします。
▽一五一会弾きの皆さんとやってみたいことはありますか。
比嘉:変化していく時代の中で、僕には一五一会で弾ける歌作りをする役目があると思っています。だからそこを見失わないように、日本のどこかではなく、日本の歌だと思える歌、可児市でこれは自分の歌なんだと思って歌ってくれるような歌を僕は作っていかなきゃいけないと思っています。このプレッシャーは自分1人では背負い切れないので、手伝ってくれる一五一会弾きの皆さんにそういう歌をぜひ作ってもらいたいです。千曲もあれば1曲はそういう曲があるかもしれない、そのぐらいのものなんですが。みんなで楽しみながらやっていきたいです。
▽子どもたちにも一五一会を知ってほしいという願いのもと、一五一会可児市大会が開催されます。一生忘れないものにしてほしいですよね。
比嘉:そうですね。子どもの頃、みんなでこんなことをしたなというのは、忘れられない。
矢入:これまでは限られた範囲だけで動いていた感じだったんですけど、可児市やアーラも興味を持ってくれたことで、何か先が明るくなってきたのかなと感じています。
比嘉:そうですよね。これはもうBEGINとヤイリさんでやるような規模の話じゃないと思います。可児市を挙げてのイベントにぜひしてもらえたらと思います。
▽可児市の皆さんへ一言お願いします。
比嘉:先ほども言いましたが、ハチ公のようなつながりが、将来一五一会のふるさと可児市と僕のふるさと石垣島でもできていて、みんなで一緒になって一五一会を楽しく弾いたり、交流が持てたりしたらいいなと思います。可児市の皆さんも、今は石垣島が遠いと感じるかもしれないですが、一五一会でつながっているから仲間みたいな、そんな近さってあると思っています。近い将来そんなことができたらいいなと勝手に期待しています。
取材/可児市
■一五一会でつながっているから仲間みたいな、そんな近さってあると思う
■(株)ヤイリギターとは…
下恵土にあるアコースティックギターの製造会社です。
創業者の矢入儀市(ぎいち)さんが、矢入楽器製作所として楽器作りを始め、後を継いだ一男さんが、アメリカでギター作りを学んだ後、(株)ヤイリギターを設立しました。
一男さんは50年以上にわたってギター作りを続け、平成17年に「現代の名工」として国の表彰を受けています。
問合せ:秘書政策課
【電話】内3329
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