◆水道を取り巻く環境の変化「減る人口・増えるコスト」
日本では当たり前のように、蛇口をひねるだけで、そのまま飲むことのできる水がでてきます。世界でも、水道水をそのまま飲むことのできる国は、日本を含めわずか11カ国しかありません。(出典:国土交通省「令和5年版日本の水資源の状況」)
このように安全な水を安定して提供できる水道を次世代に引き継いでいくためには、健全な経営を維持しながら、老朽化施設を更新し、また、災害への備えを着実に実施していく必要があります。
しかし、今、町の水道事業の経営は、事業を取り巻く環境の変化で、非常に厳しい局面を迎えています。そこで、皆さんに町の水道の現状と課題を知ってもらうため、経営状況などについて、今後も定期的にお知らせしていきます。
◇水道事業は「独立採算制」
・水道事業は皆さんが支払った水道料金で賄われています
皆さんが安心して水道水を使うために必要な、施設の整備と維持管理の経費は、「税金」という町のお財布(一般会計)とは別の「水道料金収入」というお財布(水道事業会計)で賄われています。これを「独立採算制」といいます。
◇水道料金の使い道
水道料金は、どのように使われている?
町は自己水源を持っていません。そのため岐阜県から水道水を購入して皆さんに届けています。この水道水の購入に水道料金の約6割が使われています。
◇厳しさを増す水道事業のお財布事情「赤字経営」
・料金収入の減少、施設整備費用の増加が要因
町の水道料金収入は、人口減少や節水機器の普及により、年々減少すると予測されます。一方、施設の老朽化対策や耐震化など施設整備費が増加し、現在策定中の財政計画では、令和5年度以降の単年度実質収支は赤字が続く見通しです。
単年度実質収支の見通し
◆水道事業が抱える課題
◇課題1 水道料金収入の減少「人口減少・節水機器の普及などの影響」
水道を維持するための財源となる水道料金収入は、人口減少や節水機器の普及などの影響で、減少傾向が続くことが見込まれています。
水道事業収入の約99%が水道料金収入であるため、財源の確保は、今後さらに厳しくなります。
水道料金収入の推移
◇課題2 大規模災害に備えた施設の耐震化
近い将来に発生が懸念される南海トラフ地震など大規模災害に備え、水道施設の耐震化を計画的に進める必要があります。
山楠地内にある配水池の耐震化は既に完了しており、現在は、基幹管路(配水本管)と重要給水施設(災害対策本部、指定避難所、避難場所など)の給水ルートの耐震化を重点的に取り組んでいます。
取組(1) 基幹管路の耐震化
災害時には、断水による町民生活への影響を最小限にとどめることが求められるため、水道の要である基幹管路(配水本管)を令和6年・7年度の2年間で耐震化していきます。
取組(2) 重要給水施設への給水ルートの確保
災害時においても、復旧の拠点となる災害対策本部や避難所、給水拠点など、重要給水施設への給水を確保できるよう、令和15年度までに重要給水施設までの給水ルートの耐震化が完了するよう計画しています。
◇課題3 老朽化した施設の更新「老朽化対策に待ったなし!」
令和4年度末における町の水道管の総延長は約120kmです。そのうち、既に法定耐用年数を超過している管路は約35kmで、全体の約3割を占めています。水道管の老朽化は、破損による漏水事故などの発生リスクが高まるため、計画的に更新していく必要があります。町では、管路の耐震化を進める中で漏水事故の発生状況や緊急度、漏水事故による他に与える影響度を総合的に判断し、更新していきます。
問い合わせ:上下水道課(担当 井戸)
【電話】53-2621
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