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自治体の皆さまへ

町長の机から 第二六八回

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岐阜県川辺町

◆うだつの上がる町並み
ご紹介をいただき美濃市を訪問しました。
美濃市は古い歴史と伝統に彩られた町で、「美濃和紙」や「花みこし」で有名です。「うだつの上がる町並み」は伝統建築が立ち並ぶ美濃市の中心街で、清流長良川や緑深い山々に囲まれた、自然と文化が一体となった美しい町です。
目的地の一つは、まちごとシェアオフィスを目指す「WASITA MINO」です。
これは古民家をリノベーションしたワークスペース拠点を中心に、うだつの上がる町並みエリア全体をひとつのシェアオフィスに見立て、まちの中に複数働く場所を提供するものです。注目すべきは、その拠点施設です。
歴史を感じさせる大きな古民家(商家)を改装したワークスペースで、外観は昔ながらの商家ですが、中身は近代的な造りになっています。目の前の中庭に芝生広場が広がり、ソロワーキングスペース、コワーキングスペース、会議室、プライベートオフィスなどがお値打ちに利用できます。二階には共用のダイニングキッチンや宿泊施設を設けており、テレワーク・リモートワークにはもってこいだと思います。
二つ目の目的地は、和紙原料商人の別宅を宿泊施設と和紙専門店に改装した「NIPPONIA 美濃商家町」です。商人たちの繁栄の象徴である「うだつ」が今も残っています。その繁栄の中心となったのは、美濃和紙を全国へと流通させた商人、「紙商」たちでした。客室の主屋は全3部屋、主人が客人をもてなすためにこだわり抜いて作り上げた屋敷は、和の趣を感じる心地よい空間です。かつて茶事が行われていた風情ある庭園や茶室、総柾目の天井などが当時のまま残されています。蔵は全3部屋、一軒家ほどもある金庫蔵や原料蔵、道具蔵は重厚な雰囲気を残しながらモダンで落ち着いた空間へと生まれ変わり、紙商の息吹を感じさせます。和紙専門店Washi-naryは、かつて紙商が顧客の多様な注文にこたえたように、和紙ソムリエが客の要望に合わせた和紙を提供してくれます。
今回訪れた美濃市は平成の大合併当時、三度の住民投票を経て、美濃市単独で市制運営の継続を選んだまちです。その根底には、市民の誇りと古くからの伝統を守りたいという熱い想いが伝わってきます。伝統を守りながらも新しい時代に適応する美濃市、素晴らしいまちです。見習うべき点が多々あると感じました。

川辺町長 佐藤光宏

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