1948(昭和23)年に国連総会で世界人権宣言が採択され、本年で75周年を迎えます。採択日の12月10日は人権デー、12月4日から10日までは人権週間です。この機会に、身近なことから人権を考えてみませんか。
■人権とは
◆全ての人の権利、人権
世界人権宣言は「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利について平等である」とうたっています。
日本国憲法は、人種・信条・性別・社会的身分・門地などによって差別されないとする法の下の平等、思想及び良心の自由、信教の自由、学問の自由、生存権、教育を受ける権利、勤労の権利など、多くの種類の人権を基本的人権として保障しています。
人権は、全ての人が生まれながらに持っている権利であり、人が幸せな人生を送るために、欠くことのできないものです。
しかし、偏見や差別によって、人間らしく、自分らしく生きられないことがあります。それが人権問題です。
◆人権問題
人権問題といわれるものには、主に次のようなものがあります。
これらをなくすため、一人一人が人権を自分のこととして捉え、人権尊重の大切さを理解し、行動することが大切です。
▽女性の人権
・雇用や賃金面での格差
・セクシュアルハラスメント
・配偶者などからの暴力
・ストーカー行為
▽児童虐待
・児童虐待
・子ども同士のいじめ
・体罰
・経済状況による教育機会の格差
▽高齢者の人権
・高齢者への虐待
・地域からの孤立
・高齢者を狙った悪質商法
・年齢を理由とした社会参加機会の逸失
▽障がい者の人権
・物理的なバリア(建物の段差など)
・制度・慣行的なバリア
・情報面のバリア(情報の入手方法など)
・心のバリア(無理解から生じる偏見や差別)
▽部落差別(同和問題)
・同和地区(被差別部落)の出身という理由だけで、結婚をとりやめたり、企業が採用しなかったりする
▽インターネットと人権
・写真や動画の無断公開
・特定の個人を対象とした誹謗中傷
・子ども同士のいじめ
・未成年者への性的被害や暴行
▽外国人の人権
・言語、文化、宗教、生活習慣などへの無理解から、住宅の賃貸や入店を断る
◆近年の課題
近年、性的マイノリティを取り巻く課題やヘイトスピーチの問題など、人権課題は多様化しています。
さらに、新型コロナウイルス感染症は、感染者やその家族、医療従事者などへの差別問題だけでなく、あらゆる人権課題に深刻な影響を与えました。
■市の指針
◆新たな指針を策定
こうした中、本市では令和5年3月、第4次市人権施策推進指針を策定しました。
人権を尊重することは、全ての人が自分らしく生きていくための基本となるものです。誰もが自分らしく生きがいを持ち、支え合う「共生のまち」を実現するためには、教育や啓発により、市民一人一人が人権尊重を理解し、互いの違いや個性を認め、尊重し合うことが大切です。
こうした考えから、今回の指針もこれまでのものを継承し、基本理念を「一人ひとりが人権尊重を理解し、互いに認め合い、共に支え合う共生社会のまち恵那」としました。
指針では、左に記載の通り(1)人権意識の醸成(2)誰もが共存できる社会づくり(3)生活環境の整備(4)相談・支援体制の充実を基本的な視点として、市の方針を示しています。
本市の人権課題を把握するため、指針の策定に合わせてアンケートを実施しました。
その結果、最も関心のある課題は、障がい者の人権、次いで高齢者の人権でした。
また、平成28(2016)年度の調査と比較すると、特に「インターネットによる人権侵害」が増加しています。
〔調査の概要〕
期間:令和3年12月
対象:18歳以上の市民
配布数:2,000件(有効回収率38パーセント)
■第4次市人権施策推進指針より
◆人権施策を進める上での基本的な視点
01.人権意識の醸成
全ての市民が人間の尊厳の大切さを理解し、人権問題を知識として知るだけだけでなく人権を尊重するという理念への理解を深め、日常生活で生かせるよう意識を高めます。
02.誰もが共存できる社会づくり
さまざまな心身の特性や考え方を持つ全ての人が互いに理解を深め支え合えるよう、多様性を受け入れ、誰一人取り残さない社会を目指します。
03.生活環境の整備
不自由と感じることは人それぞれ異なります。ユニバーサルデザインの推進をはじめとし、地域社会で安全で安心して暮らせる環境をつくります。
04.相談・支援体制の充実
実際に被害を受けた人や、問題を抱え悩んでいる人への対応も重要です。今後さらに多様化、複雑化する課題に適切に対応できるよう、相談・支援体制の充実を図ります。
指針では「誰一人取り残さない」というSDGsの視点も大切にしています。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>