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〔特集〕大井ダム完成100周年 大井ダムと恵那峡に行こう(2)

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岐阜県恵那市

■ダムの歴史
大井ダムは、大正13年、発電用のダムとして建設されました。
日本に初めて電気による明かりが付いたのは明治11年。当時は石炭による火力発電でした。その後、急激に近代産業が成長し、火力発電だけでは産業を支えきれなくなり、豊富な水資源を活用した水力発電の開発が急がれていました。
大正10年、水量が豊富で水流も速い木曽川が水力発電に適していると考えた福沢桃介は、工事を着工。増水による工事の停滞、関東大震災やそれに伴う資金不足などの困難を経て、大正13年、大井ダムと大井発電所が完成しました。
完成したダムは、長さ約276メートル、高さ約53メートルで、当時では日本で最も大きなダムでした。
※福沢桃介は慶應義塾大学卒業後アメリカに留学。その後、福沢諭吉の娘婿となります。実業家として電力事業に取り組み、後に電力王と言われました。

◆夏休みの自由研究で、大井ダムの歴史を調べたよ
▽松野愛(あい)さん(大井小学校6年生)
大井ダムに興味を持ったのは、ダム完成100年だと知ったからです。私のひいおばあちゃんも100歳なので、同じ年だ!と思って。
今まで大井ダムのことをあまり知らなかったので、まずはダムを学ぶ講座と見学会に参加しました。
講座では、建設中にお金が足りなくなったり、ちょうど関東大震災があったり、大雨で作りかけのダムが流されたりしたと聞いて、そんな苦労があったんだと驚きました。実際にダムの堤体(ていたい)を歩いたら大きくて高くて、怖かったです。水も満杯で圧倒されました。
大井ダムは、当時の最先端の技術を使い、たくさんの人と時間をかけて作られました。自由研究をして、地元にそういうダムがあることを誇りに思うようになりました。これからも大井ダムを大切にしたいです。

講座や見学会で感じた驚きや発見とともに資料やパンフレットで調べたダムの歴史を丁寧にまとめた自由研究「大井ダムの歴史」「約3週間かけて仕上げました。読みやすくなるように、イラストや写真を入れて工夫しました。家族から頑張ったねと言ってもらえて、うれしかったです」とにっこり。

■ダムの魅力
大井ダムとダムによって作られた恵那峡の景観。その魅力を、ダムマイスターの鷲見(よっしー)さんと、大井ダム完成100周年記念実行委員の片桐さん、磯村さんに、それぞれの視点から語ってもらいました。

◆桃介の思いが詰まった大井ダム
よっしーさん:100年前に造られたダムが今も現役で活躍していて、ダムってすごいなと思います。
片桐さん:講座で教えてもらったのですが、大井ダムは、地盤の固いところに造られているんですよね。
よっしーさん:そうです。ここに造るのが最適だという場所にできています。100年前は今のような地質調査はできなかったのに、しっかり調べてあるんです。桃介が力を入れていたダムなんだと思います。
それに桃介は、大井ダムを「魅せるもの」として造ろうとしたように感じられます。水を放流するゲートが21個あるのですが、整然と並んでいて美しいですし、堰堤の上に街灯がありますが、アールヌーボーの造形美を感じさせます。
さまざまな場所に桃介の思想が息づいていることを、皆さんに見てもらえたらうれしいです。

◆ダムがあってこその恵那峡の美
片桐さん:ダムが造られて現在の恵那峡の姿になったのですが、今まであった自然と調和しているなと感じます。
よっしーさん:ダムができて水面が50メートル上がったことと、水流が穏やかになったことで、遊覧船でゆっくりと周囲の景色を見ることができますよね。
片桐さん:以前は、木曽川の急流を下る川下りの舟がありましたが、ダムができて、遊覧船での観光に変わりました。湖面が高いので、迫力のある奇石なども近くで見られます。
磯村さん:私は、ビジターセンターの向かいに店舗があるので、恵那峡の風景が目の前に広がったときの、お客さんの「うわぁー」という声を聞くことができるんです。その度にうれしくなりますね。

◆訪れる度に新たな発見がある
よっしーさん:大井ダムは、恵那峡公園はもちろん、上流の恵那峡大橋からや、下流の東雲(しののめ)橋から、それに今は新しく東雲大橋ができて、上からも見ることができます。
上からの景色は桃介が見たことない景色だと思うので、現代の私たちの特権だなと思います。
磯村さん:私は、先日初めて朝9時の始発の遊覧船に乗ったのですが、波のない水面が本当に美しくて。毎日見ているのに、一日の中でも時間によって違う表情を見せてくれるんだなと気付きました。
よっしーさん:桜を見ながらもいいし、紅葉もいいし、雪化粧の中での船旅もいい。恵那峡は、四季折々で楽しめますよね。
片桐さん:本当にどの季節もいいですね。強いて言えば私は、緑が美しくなってくる新緑の季節がいいなあと思います。
でも、見るたびに新しい発見があるので、ぜひ何度でも足を運んでもらいたいです。

◆市民が訪れて楽しめる場所に
磯村さん:恵那峡は、市を代表する観光地ですが、それだけではなく、地元の人が来て、歩いたり寝転んだり本を読んだり、お子さんがいれば遊具で遊んだりして、ずっと一日過ごせるような場所になってほしいです。そのためにはテントの貸し出しなどもあるとよいのかもしれません。
よっしーさん:大井ダムは、ダム好きにも人気のダム。日本中に誇れるダムだと思います。そんなダムが恵那にあるということを地域の皆さんに知ってもらい、100周年を機にアピールしていってもらえたらなと思います。

▽鷲見佳美(よしみ)(よっしー)さん
美濃市在住。平日は会社員、休日は「ダムマイスター」として日本全国のダムを巡る。

▽磯村紀子(のりこ)さん
恵那峡で生まれ育つ。Uターンして、恵那峡でテイクアウトのカフェを営んでいる。

▽片桐昭久(あきひさ)さん
恵那峡遊覧船を営む東鉄商事株式会社の管理本部部長。遊覧船の業務に携わって13年。

問合せ:観光交流課
【電話】26-6830

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