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物知り先生のふるさと情報

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岐阜県恵那市

■正家廃寺跡「正家廃寺のオンリーワン」
三宅唯美さん(文化課)

正家廃寺跡が国史跡に指定されたときの指定理由書は次のように締めくくられています。「当廃寺跡は主要の建物の遺存状況が良好で豊富な出土遺物があり、東海地方を代表する古代寺院であるとともに、金堂は特異な様式であり建築史上も貴重である。よって史跡に指定し、保護を図ろうとするものである。」
発掘で確認された金堂の構造が史跡指定の決め手となっています。
写真は、発掘途中の金堂を真上から撮影したものです。礎石が内側に10石、外側にも同じように10石並んでおり、放射状(斜め)に広がっていることが分かります。
古代寺院の金堂建築は柱が碁盤目状に配されているのが一般的です。正家廃寺跡のような平面の建物は、現存する古代建築にも、発掘遺構にもない、唯一の事例です。
古代建築の屋根は、内側と外側の柱をつなぐ水平の部材が建物の外まで張り出し、軒を支える構造になっています。現存するお堂を見ると、柱の上端に屋根を支える組物が壁面に対して直角に張り出しているのが観察できますが、正家廃寺金堂の場合にはこれが放射状(斜め)になっているということです。
そっくりな事例が一つだけあります。法隆寺に伝わる玉虫厨子(たまむしのずし)です。この厨子は建築の外観を精密に模した工芸品で、7世紀の寺院建築を考える上で貴重な資料です。これを見ると軒下の組物が放射状に広がっている様子がよく分かります。
正家廃寺金堂の軒下もこれと同じ外観だったと推定されます。お堂の前に立ち建物を見上げると、ここにしかない造形が強い印象を与えたことでしょう。玉虫厨子を拝観する機会がありましたら、軒下に注目してみてください。

※写真は、本紙をご覧ください。

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